オールオン4は歯を全部抜く?残せる歯の判断と抜歯の流れ・痛み

オールオン4は歯を全部抜く?残せる歯の判断と抜歯の流れ・痛み

オールオン4では、保存が難しい歯を抜いてから片顎4本程度のインプラントで固定式の人工歯を支えるため、結果としてその顎の歯をすべて抜くケースが多くなります。ただし、すべての歯を抜くと決まっているわけではなく、骨の支えが残っている歯を生かす治療計画が立てられることもあります。

どの歯を抜くかは、歯周病の進み具合や歯の根の状態、噛み合わせなどを検査したうえで1本ずつ判断します。

この記事でわかること

  • オールオン4で歯を全部抜くことが多い理由と、残せる場合
  • 残せる歯・抜歯が検討される歯の判断の目安
  • 抜歯が怖いときの麻酔と静脈内鎮静法
  • 抜歯と同じ日に仮歯まで入る条件と、段階的に進める場合
  • 抜歯後の痛み・腫れ、持病や服薬がある場合の注意
  • 抜歯を避けたいときの他の選択肢と、医院で確認したいこと
目次

オールオン4では歯を全部抜く?残せる場合もある

オールオン4は、少ない本数のインプラントで片顎全体の人工歯を支える治療です。人工歯は歯ぐきの上に一体でかかる橋のような構造のため、残っている歯があると、人工歯の形や噛み合わせの設計に制約が生じます。

そのため、重い歯周病で多くの歯がぐらついている場合は、保存が難しい歯をまとめて抜き、その顎全体をオールオン4に置き換える計画になりやすいのです。

一方で、上の顎はオールオン4にして下の顎は自分の歯を残すように、顎ごとに方針を分ける計画も立てられます。同じ顎の中でも、支えがしっかりした歯まで抜くとは限りません。

「オールオン4なら全部抜く」と決めつけず、自分の場合に何本抜く予定なのか、残せる歯はあるのかを、検査の結果をもとに担当医へ質問し、把握しておくことが大切です。上の顎だけをオールオン4にしたい方は、片顎だけで治療する場合の条件や流れを次の記事で確認できます。

保存が難しい歯を残さない理由

日本口腔インプラント学会の『口腔インプラント治療指針2024』は、インプラント治療は元に戻せない外科手術を伴うため、治療後の良い状態を保つには残っている歯、歯周組織、噛み合わせを長く安定させることが重要だと述べています。そのうえで、治療を始める前に歯周治療を行い、保存できない歯は早めに抜歯し、根の先の病巣は治療か抜歯で取り除いておく必要があると示しています。

オールオン4で抜歯が勧められるのも、この考え方にもとづきます。保存が難しい歯を残したまま手術をすると、次のような問題につながるおそれがあります。

  • 感染源が残る:重い歯周病の歯や根の先に膿がたまった歯から、周りの組織やインプラントに炎症が広がることがある
  • 噛み合わせが安定しない:揺れている歯や位置のずれた歯が、人工歯との噛み合わせの設計を難しくする
  • あとで追加の処置が必要になる:残した歯を数年以内に抜くことになると、人工歯の作り直しや再手術が必要になることがある

残せる歯・抜歯が検討される歯の判断の目安

残せるかどうかは、いくつかの観点を合わせて判断します。次の表は、検査で見られる主な観点を整理したもので、実際の判断は担当医の診断によります。

スクロールできます
観点残せる可能性がある歯抜歯が検討されやすい歯
歯を支える骨骨の支えが残り、歯周治療で炎症を抑えられる骨が大きく失われ、歯が大きく揺れている
歯の根割れやひびがない根が割れている、根の先に大きな病巣がある
むし歯治療で形を回復できる根の深くまで進み、修復が難しい
位置・噛み合わせ人工歯の設計を妨げない傾きや位置のずれで人工歯と干渉する
清掃のしやすさ自分で清掃を続けられる清掃しにくく、腫れや膿を繰り返す

見た目には問題がなさそうな歯でも、歯科用CTや歯周検査で骨の支えが少ないと分かり、抜歯を勧められるケースも見られます。反対に、抜くと思っていた歯が歯周治療で残せる見込みになる場合もあります。

抜く歯を決めるための検査

抜歯の本数やインプラントの位置は、口の中の診察、歯周検査、レントゲン、歯科用CT、噛み合わせの検査、口の中の型取りやスキャンなどを組み合わせて決めます。持病や服薬の状況を確認する問診も、手術の計画に欠かせません。

抜歯は元に戻せない処置です。検査の結果を見せてもらいながら、1本ずつ抜く理由を説明してもらい、納得してから治療計画を決めましょう。

抜歯が怖い・痛いときの麻酔と静脈内鎮静法

オールオン4で抜歯とインプラントの埋入を同じ日に続けて行う場合は、1本だけの抜歯に比べて処置の範囲が広がります。手術中の痛みは局所麻酔で抑えるのが基本で、麻酔が効いている間は痛みを感じにくい状態で処置が進みます。

抜歯が怖くてたまらない場合や、処置の範囲が広い場合は、担当医と相談のうえで静脈内鎮静法の併用を検討します。

同じ指針によると、静脈内鎮静法は点滴から鎮静作用のある薬を入れて手術中の鎮静状態を得る方法で、インプラント手術への恐怖心や不安・緊張を抑える目的で使われます。鼻から吸う笑気吸入鎮静法よりも確実な鎮静効果があり、手術中のことを覚えていにくい健忘効果も期待できます。

一方で、呼吸や血液の循環に影響するため、実施中は全身状態のモニタリングが欠かせず、手術中の患者管理に専任する歯科医師(医師)が行うべきだと指針は述べています。静脈内鎮静法を希望するときは、次の点をカウンセリングで確認しておきましょう。

  • 鎮静を担当するのは誰か、手術中に全身状態をどう見守るか
  • 追加でかかる費用
  • 手術前の食事制限、当日の帰宅方法や付き添いの要否
  • 持病や服用中の薬による制限

抜歯から人工歯が入るまでの流れ|同じ日に仮歯が入る条件と段階的に進める場合

オールオン4は、条件が整えば、抜歯とインプラントの埋入に続けて仮の固定式の歯まで同じ日に装着する「抜歯即時荷重(即日仮歯)」で進められることがあります。ただし、誰でも当日に仮歯が入るわけではなく、手術当日の状態によって段階的に進める計画に切り替わることもあります。

一般的な流れと期間の目安は次のとおりです。治癒期間は日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」の目安で、骨を増やす処置などがあると長くなります。

スクロールできます
ステップ主な内容期間の目安
1. 検査・診断CT・歯周検査・噛み合わせの検査など医院や検査内容によって異なる
2. 抜歯・インプラントの埋入保存が難しい歯の抜歯と、片顎4本程度の埋入手術当日
3. 仮歯の装着条件が整えば同じ日に装着当日〜後日
4. 治癒期間インプラントと骨の結合を待つ下の顎で2〜3か月程度、上の顎で4〜6か月程度
5. 最終的な人工歯の装着人工歯の装着と噛み合わせの調整骨との結合を確認後

オールオン4の治療全体の流れやメリット・デメリットは、次の記事で詳しく解説します。

同じ日に仮歯まで入る条件

学会の2024年版の指針では、抜歯と同時にインプラントを埋め込む「即時埋入」は、抜く歯や周りに感染や炎症がなく、大きな骨の欠損がなく、十分な初期固定(埋め込んだ直後の安定)が見込める場合に行えるとしています。埋入から1週間以内に仮の歯を付けて噛めるようにする「即時荷重」も、埋入時に十分な初期固定が得られた場合が対象です。

同じ指針は、インプラントに力をかけずに待つ期間(免荷期間)を短くする方法には患者の負担を減らせる利点がある一方で、失敗のリスクを伴うため、あらかじめ患者に伝えておく必要があるとも述べています。即日仮歯を希望する場合も、「当日に入らない可能性」と「その場合の進め方」を事前に確認しておくと、当日の変更にも落ち着いて対応できます。

段階的に進めることになる主なケース

次のような場合は、手術の時期を分けたり、治りを待ってから仮歯や次の処置に進んだりする計画になります。

  • 抜く歯の周りに強い感染や炎症がある
  • 骨が大きく欠けていて、骨を増やす処置が必要になる
  • 埋め込んだインプラントが十分に固定されない
  • 糖尿病など持病の管理を優先する必要がある

当日の仮歯にこだわらず、治りを優先する判断も治療の選択肢の一つです。抜歯とインプラントの時期の考え方は、次の記事も参考にしてください。

抜歯後の痛み・腫れと過ごし方

抜歯と埋入を同じ日に行った後は、痛み、腫れ、内出血によるあざのような変色が出ることがあります。神奈川県歯科医師会「インプラントのQ&A」では、歯ぐきを大きく切開して骨をつくる処置などを行った場合に腫れることがあり、腫れのピークは通常術後3日まで、遅くとも1週間以内に消えるとされています。処置の範囲や抜歯の本数、体質によって経過は変わります。

手術後の過ごし方で守りたいのは、次のような点です。

  • 薬:痛み止めは指示どおりに使い、抗菌薬は自己判断で中止しない
  • 当日の過ごし方:激しい運動、飲酒、長湯を控え、強いうがいで傷口に負担をかけない
  • 食事:やわらかく刺激の少ないものから始め、仮歯で硬い物や粘りの強い物を噛まない
  • 受診の目安:痛みや腫れが日ごとに強まる、発熱がある、出血が止まらない、しびれが長引くときは早めに連絡する

仮歯は最終的な人工歯ではなく、治りを待つ間の一時的な歯です。食事や清掃の制限は医院によって異なるため、手術前に説明を受けておきましょう。手術後に正常な経過と異常を見分けるポイントは、次の記事にまとめています。

持病・服薬・喫煙があるとき

持病や服用中の薬は、抜歯やインプラント手術の計画に関わります。同じ2024年版の治療指針では、次のような点が挙げられています。

  • 糖尿病:血糖が高い状態では傷の治りが悪くなりやすく、インプラント周囲炎のリスクにもなるため、血糖をコントロールしてから手術を行う
  • 骨粗しょう症の薬:骨吸収抑制薬を使っている場合は、顎の骨が壊死する「薬剤関連顎骨壊死」のリスクがあるため、処方した医師と連携して慎重に進める
  • 血をさらさらにする薬:命に関わる血栓を防ぐため、抜歯の際も原則として服用を続け、出血は縫合や止血用の材料などで物理的に止める

服用中の薬は、お薬手帳を持参して担当医に伝え、中止や調整の判断は処方した医師と歯科医師に任せてください。

喫煙について、日本口腔インプラント学会は「禁煙宣言」の中で、喫煙によってインプラントの成功率が低下し、治療に入る前に禁煙することが成功率を高めると述べています。加熱式たばこも紙巻きたばこと同じ害があるとしているため、手術前後の禁煙について担当医と相談しましょう。

抜歯を避けたいときの他の選択肢

残っている歯をできるだけ抜きたくない場合は、オールオン4以外の方法も比べたうえで決められます。多数の歯を失った場合に検討される主な方法は次のとおりです。

スクロールできます
治療法抜歯・手術人工歯の固定主な特徴
オールオン4保存が難しい歯の抜歯とインプラント手術固定式片顎4本程度のインプラントで人工歯全体を支える
部分入れ歯手術は不要な場合が多い取り外し式残っている歯にバネなどをかけて支える。残せる歯を生かしやすい
インプラントオーバーデンチャーインプラント手術(本数は少なめ)取り外し式インプラントを留め具にして入れ歯を安定させる
総入れ歯手術は不要な場合が多い取り外し式歯ぐきで支える。保険診療でも作れる
多数本のインプラント抜歯とインプラント手術固定式失った歯の本数や部位に合わせて埋め込む

部分入れ歯は、残っている歯に支えを求めるため、抜歯を最小限にしたい場合の選択肢になります。インプラントオーバーデンチャーは、少ない本数のインプラントで入れ歯のずれや浮き上がりを抑える方法で、取り外して清掃できるのが特徴です。

どの方法が合うかは、残っている歯と骨の状態、手術への考え方、清掃のしやすさ、費用によって変わります。手術を避けたい場合や全身疾患で手術のリスクが高い場合は、入れ歯が現実的な選択肢になることもあります。

抜歯の前に医院で確認したいこと

オールオン4の抜歯を勧められたら、治療を決める前に次の点を説明してもらうと、判断の材料がそろいます。

  • 抜く歯と残す歯:それぞれの歯を抜く理由と、残せる可能性がないか
  • 手術当日の予定:即日仮歯の予定か、段階的に進めるか。当日に仮歯が入らない場合の進め方
  • 麻酔:局所麻酔か、静脈内鎮静法を併用するか
  • 骨を増やす処置:必要かどうかと、その場合の期間・費用の変化
  • 仮歯の期間:食事や清掃の制限、通院の回数
  • 総額に含まれるもの:検査、抜歯、仮歯、最終的な人工歯、メンテナンス、保証

オールオン4は原則として公的医療保険が適用されない自由診療で、費用は全額自己負担です。抜歯や静脈内鎮静法、骨を増やす処置まで総額に含まれるかは医院によって異なるため、見積もりの内訳で確かめましょう。費用の目安と、保険が適用される条件は、それぞれ次の記事で解説しています。

オールオン4の抜歯に関するよくある質問

歯周病があると、インプラントは長持ちしにくいですか?

日本口腔インプラント学会は、歯周病にかかっている方では治療後のインプラントの残存率が低いことが報告されているとして、歯周病の治療を先に行ってからインプラント治療を受けることを勧めています。治療後も、毎日の清掃と歯科医院での定期的なメンテナンスを続けることが大切です。

高齢でもオールオン4の抜歯と手術はできますか?

年齢だけでは判断しません。手術に耐えられる全身状態か、持病が安定しているか、服用中の薬の影響はどうかを確かめて判断します。心配な持病がある場合は、かかりつけ医の意見も合わせて聞いておくと判断の材料になります。

抜歯を勧められたものの、納得できない場合はどうすればよいですか?

別の歯科医院でセカンドオピニオンを受ける方法があります。検査の画像や治療計画の資料を借りられるか相談し、抜歯の必要性や残せる歯の見込みについて意見を聞いてみましょう。

まとめ

オールオン4では、保存が難しい歯を抜いてからインプラントで人工歯を支えるため、その顎の歯をすべて抜くケースが多くなります。ただし、全部抜くと決まっているわけではなく、骨の支えや根の状態、噛み合わせを検査して1本ずつ判断されます。

同じ日に仮歯まで入れられるかは、感染や大きな骨の欠損がないか、インプラントが十分に固定できるかなどを見て判断され、当日の状態によっては段階的な進め方に切り替わります。抜歯が怖い場合は静脈内鎮静法を相談でき、持病や服用中の薬、喫煙の有無は手術前に漏れなく伝えてください。

抜歯は元に戻せない処置です。抜く理由と残せる歯の見込み、当日の進め方、総額に含まれるものを確かめ、部分入れ歯やインプラントオーバーデンチャーなど他の方法とも比べて決めましょう。

※本記事は一般的な情報を整理したものです。オールオン4の適応、抜歯の要否、即日仮歯の可否、費用、リスクは症例や医療機関によって異なり、治療の経過や回復には個人差があります。個別の診断・治療方針は担当の歯科医師にご相談ください。

西川 健太先生

医療法人煌潤会 赤羽駅前歯科 院長

西川 健太(にしかわ けんた)先生

日本大学松戸歯学部卒。国際口腔インプラント学会(ISOI)認定医・専門医、DGZI Japan認定医、厚生労働省認定臨床研修指導医。

インプラント治療歴25年以上、手術実績は通算1万本以上。

ストローマン社エクセレンスパートナーに選出され、ザイゴマインプラント等の難症例にも対応する。

医療法人煌潤会 赤羽駅前歯科

医療広告について

自由診療に関する詳細内容

オールオン4は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療のため、費用は全額自己負担です。

  • 治療内容:保存が難しい歯を抜歯し、片顎4本程度のインプラントを埋め込んで固定式の人工歯を装着する。条件が整えば同じ日に仮の歯を装着し、治癒期間後に最終的な人工歯を装着する
  • 費用(税込)の目安:検査、抜歯、静脈内鎮静法、骨を増やす処置、仮歯、最終的な人工歯、メンテナンス、保証の範囲や医院の料金体系によって大きく異なるため、検査後の見積もりで総額を確認する
  • 治療期間・回数の目安:インプラントと骨が結合するまで、下の顎で2〜3か月程度、上の顎で4〜6か月程度待ってから最終的な人工歯を作る。インプラントを埋めたあとに歯ぐき(粘膜)をもう一度開く手術がない方法(1回法)と、ある方法(2回法)があり、抜歯や骨を増やす処置を別に行う場合はその手術も加わる。通院は、検査・診断、抜歯とインプラントの手術、型取り、最終的な人工歯の装着と噛み合わせの調整と進み、装着後も定期的なメンテナンスのための通院が続く。手術当日に仮の歯を付ける場合も、治療開始から終了までの期間はあまり変わらない。骨を増やす処置や歯周病の治療を伴う場合はさらに長くなり、期間や経過には個人差がある
  • 主なリスク・副作用:術後の痛み・腫れ・出血・内出血、感染、神経の損傷によるしびれ、上顎洞炎、インプラントと骨の結合不全、インプラント周囲炎、仮歯や人工歯の破損、ねじの緩み、再手術が必要になる可能性。静脈内鎮静法では呼吸・循環への影響
医療広告について
  • 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
  • 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

著者情報

「best choice(ベストチョイス)歯科 byGMO」は、検索機能を使って地域と診療内容を絞り込み、ベストな歯科医院を探せるポータルサイトです。
一般歯科、小児歯科、審美治療、矯正治療など、ご自身にとって今必要な治療を最適なクリニックで受けることができます。

目次