奥歯の虫歯は、噛み合わせ面の溝や歯と歯の間など、歯ブラシの毛先が届きにくい場所から始まることが多い虫歯です。口の奥にあって鏡でも見えにくく、痛みが出る前に気づきにくい点も特徴です。
奥歯の虫歯の初期症状と見た目の変化、なりやすい理由、進行度C0〜C4ごとの治療、抜歯が必要になるケース、保険と自費の違い、予防の方法を、厚生労働省の情報をもとにまとめました。
この記事でわかること
- 奥歯の虫歯の初期症状と見た目、なりやすい理由
- 奥歯の虫歯の治療法(進行度C0〜C4ごと)
- 抜歯が必要になるケースと、抜いた後の選択肢
- 奥歯を虫歯から守る予防の方法
奥歯が虫歯になりやすい理由
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、虫歯ができやすい場所として、奥歯の溝(小窩裂溝)、歯と歯の間、歯ぐきに近い部分の3つを挙げています。どれもプラーク(歯垢)を歯ブラシで落としにくい場所で、奥歯にはこの3つがそろっています。
- 噛み合わせ面の溝:食べ物をすりつぶすための細く深い溝があり、毛先が底まで入りません。溝の奥の細菌は、歯みがきだけでは落とせません
- 歯と歯の間:歯ブラシだけでは汚れが残りやすい場所です。表から見えないため、進んでから見つかることもあります
- 歯ぐきに近い部分:歯と歯ぐきの境目は磨き残しが出やすく、歯ぐきが下がった大人では根の表面にも虫歯ができます
唾液には、細菌が出す酸を中和し、溶けかけた歯の表面を修復する働きがあります。寝ている間は唾液が減るため、寝る前に甘いものを口にすると虫歯になりやすくなります。
大人の奥歯で見落とせないのが、詰め物や被せ物の下にできる虫歯(二次う蝕)です。詰め物と歯のすき間から細菌が入り込むもので、もともと治療した歯のため奥深くまで進みやすく、神経に達する原因になります。
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の特徴・原因・進行」
奥歯の虫歯の初期症状と見た目
奥歯の虫歯は、初めは痛みがほとんどありません。自分で気づけるのは、次のような変化です。
- 見た目の変化:溝や歯の表面が白く濁る、茶色や黒に変わる
- しみる:冷たいものや甘いものがしみる
- 噛んだときの痛み:噛むと痛む、違和感がある
- 詰め物の変化:詰め物が欠けた、取れた、段差ができた
溝が黒く見えても、飲食物による着色か虫歯かは、見た目では区別がつきません。歯と歯の間の虫歯や詰め物の下の虫歯は外から見えないため、歯科医院でのレントゲン検査で初めて見つかることもあります。
神経を取った歯は、虫歯が再発しても痛みを感じにくくなります。治療したことのある奥歯は、痛まないからといって安心はできません。
進行度C0〜C4別の奥歯の虫歯の治療法
虫歯は深さによってC0〜C4に分けられ、進むほど治療が大がかりになります。厚生労働省のe-ヘルスネット「むし歯の治療の流れ」をもとに、奥歯の場合の主な症状と治療を表にまとめました。
| 進行度 | 虫歯の深さ | 主な症状 | 主な治療 |
|---|---|---|---|
| C0 | 歯の表面が溶け始めた段階(穴はない) | 痛みなし。白く濁る | 削らずにフッ化物とセルフケアで経過をみる |
| C1 | エナメル質に小さな穴 | ほぼ痛みなし | 削ってレジン(白い樹脂)を詰める |
| C2 | 象牙質まで進行 | 冷たいもの・甘いものがしみる | レジン、または型を取って作る詰め物(インレー) |
| C3 | 神経(歯髄)まで進行 | ズキズキ痛む | 根管治療をして土台を立て、被せ物(クラウン) |
| C4 | 歯の頭の部分が崩れ、根だけが残る | 根の先に膿がたまり腫れることがある | 歯を残せるか診断し、残せない場合は抜歯 |
どの治療になるかは、虫歯の深さだけでなく広がり方や残っている歯の量で変わり、症状の出方にも個人差があります。最終的な方針は歯科医師の診断で決まります。
削らずに様子をみる初期の虫歯(C0)
虫歯は、歯の表面ではなく内側から溶け始めます。穴があく前のこの段階では、唾液に含まれるカルシウムが溶けた部分に入り込み、元に戻ること(再石灰化)がわかっています。そのため削らずに、フッ化物配合歯磨剤やフッ化物塗布、磨き方の見直しで経過をみる方法がとられます。
一方で、甘いものを何度も口にしたり、磨き残しが続いたりすると、溶ける範囲は広がります。ある程度まで広がると表面のエナメル質が割れて穴になり、そこからは自然には治りません。経過をみている間も、白く濁った部分が広がっていないかを歯科医院で定期的に見てもらうと、削る治療に切り替える時期を逃しにくくなります。
削って詰める治療(レジン・詰め物)
穴があいた小さな虫歯は、虫歯の部分を削ってレジン(歯とほぼ同じ色の合成樹脂)を詰めます。口の中で光を当てて固めるため、型取りはいりません。レジンは、虫歯の穴が小さいときに多く使われる方法です。
虫歯が大きく、直接詰めるのが難しいときは、型を取って歯の模型を作り、口の外で作った詰め物(インレー)や被せ物を付けます。奥歯は噛む力が強くかかる場所なので、どの素材が合うかは、虫歯の大きさや噛み合わせをふまえて歯科医師と決めます。
神経の治療と被せ物(根管治療・クラウン)
虫歯が神経(歯髄)まで届いた場合や、細菌が歯髄に感染した場合は、歯髄を取り除く治療(抜髄)が必要になります。「神経を抜く」とも呼ばれる治療です。
根管治療では、歯髄とその周りの感染した部分を、針のような細い器具で削り取り、空いた穴に再び感染が起こらないよう材料を詰めます。治療後は、多くの場合、土台を立てて被せ物をします。自分の歯の根を残して被せる治療なので、歯を抜く治療とは違います。
奥歯の虫歯で抜歯が必要になるケース
奥歯の虫歯でも、まずは削って詰める治療や、神経の治療をして被せる治療で歯を残せるかを検討します。抜歯が検討されるのは、歯の頭の部分が大きく崩れて被せ物を支えられない場合や、根の先に細菌が達して病巣ができた場合などです。
治療をためらって放置すると、虫歯は自然には治らず、残せる歯の量が減ります。痛みがおさまっても、治ったわけではありません。
奥歯を抜いた後の選択肢
奥歯を抜いた後は、噛む力を補うために次の方法から選びます。
- ブリッジ:両隣の歯を削って土台にし、橋のように人工の歯をかけます
- 部分入れ歯:取り外しができる入れ歯で、残っている歯に留め具をかけて安定させます
- インプラント:顎の骨に人工の歯根を埋め、人工の歯を取り付けます。手術が必要で、通常は健康保険が適用されない自費診療です
それぞれに利点と欠点があるため、残っている歯や骨の状態、費用、通院の負担を比べ、歯科医師の説明を聞いて決めます。
参考:公益社団法人 日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」
詰め物・被せ物の保険と自費、費用の確かめ方
奥歯の詰め物・被せ物には、保険診療で使える素材と、自費診療(自由診療)の素材に分かれます。保険で使える素材は部位や条件で決まっているため、白い素材を希望する場合は、保険の対象になるかを治療前に確認してください。
自費のセラミックなどは、医院ごとに料金を決めています。見積もりを受け取ったら、次の点を確認すると総額の食い違いを防げます。
- 型取り、土台(コア)、仮の歯の費用が含まれているか
- 税込の総額か
- 割れた・取れたときの保証の有無と、保証を受けるための条件(定期検診の受診など)
虫歯治療の費用の考え方は、治療費をまとめた記事で詳しく扱います。
奥歯を虫歯から守る予防の方法
e-ヘルスネットでは、奥歯の溝や歯と歯の間のプラークを、自分の歯みがきだけで毎日完全に落とすのは難しいとしています。歯みがきに次の方法を組み合わせると、磨き残しの多い場所を補えます。
- デンタルフロス・歯間ブラシ:歯ブラシでは届かない歯と歯の間を清掃します。すき間の小さいところはフロス、すき間のあるところは歯間ブラシが向いており、歯間ブラシはL字型が奥歯に使いやすい形です
- フッ化物(フッ素):フッ化物配合歯磨剤を毎日使います。歯科医院でのフッ化物塗布もあります
- 甘いものの回数を減らす:砂糖をとる量と回数を減らし、寝る前の飲食は控えます
- シーラント:奥歯の溝を樹脂などで埋めて、汚れが入り込むのを防ぐ予防処置です。取れたり欠けたりすることがあるため、定期的な確認が必要です
- 定期検診:自分では見えない歯と歯の間や詰め物の下の虫歯は、検診で見つかります。受診の間隔は、虫歯のなりやすさに合わせて歯科医院と決めます
参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「歯間部清掃(デンタルフロス・歯間ブラシ)」
奥歯の虫歯でよくある質問
まとめ
奥歯の虫歯は、溝や歯と歯の間、詰め物の下など、見えにくく磨きにくい場所から進みます。初期はほとんど痛まないため、しみる・黒い・詰め物が欠けたなどの変化に気づいた時点で受診し、定期検診で見えない部分を確かめてもらうことが、歯を削る量を減らす近道です。
治療は進行度によって、経過観察、レジン、詰め物・被せ物、根管治療、抜歯と変わります。自費の素材を選ぶときは、見積もりの内訳と保証の条件を確認してください。
宮崎市で奥歯の虫歯の相談先を探している方は、宮崎市の虫歯治療におすすめの歯科医院5選で、各医院の診療時間や詰め物・被せ物の選択肢を比べられます。
医療広告について
自由診療に関する詳細内容
セラミックなどの自費の詰め物・被せ物とインプラント治療は、公的医療保険が適用されない自由診療のため、費用は全額自己負担です。
セラミックなどの詰め物・被せ物
- 治療内容:虫歯の部分を削って型を取り、セラミックなどで作った詰め物・被せ物を付ける
- 費用(税込)の目安:素材、歯の本数、土台の有無、医院の料金体系によって異なるため、診察後の見積もりで総額を確認する
- 治療期間の目安:型取りから装着まで複数回の通院が必要。神経の治療を行う場合はさらに長くなる
- 主なリスク・副作用:歯を削る必要がある、強い力で割れる・欠けることがある、詰め物と歯のすき間から虫歯が再発することがある
インプラント治療
- 治療内容:顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、骨と結合したあとに人工の歯を取り付ける。治療後は定期的なメンテナンスを行う
- 費用(税込)の目安:本数、骨を増やす処置の有無、人工の歯の素材、医院の料金体系によって異なるため、検査後の見積もりで総額を確認する
- 治療期間の目安:骨と結合するまで数か月かかる。骨を増やす処置を行う場合はさらに長くなる
- 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・出血、感染、神経の損傷によるしびれ、骨との結合不全、インプラント周囲炎、人工の歯の破損
- 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
- 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。


