インプラントのメンテナンスは何をする?頻度・内容・費用と転院時の注意点

インプラントのメンテナンスは何をする?頻度・内容とインプラント周囲炎の予防

インプラントのメンテナンスは、治療が終わったあとに歯科医院へ定期的に通い、インプラントの周りの歯ぐきや骨、被せ物、噛み合わせの状態を確認してもらうことです。通う間隔は3か月〜半年が一般的な目安で、実際は口の中の状態に合わせて歯科医師が決めます。

痛みがなくても通う必要があるのは、インプラントの周りの炎症が自覚症状のないまま進むことがあるためです。通い始める前に、間隔・毎回行う内容・費用・引っ越したときの対応を医院に確かめておくと、治療後の見通しが立てやすくなります。

この記事でわかること

  • メンテナンスに通う頻度の目安と、間隔が変わる理由
  • 歯科医院のメンテナンスで行う検査・点検・クリーニングの内容
  • メンテナンスを受けないと起こりうるトラブル
  • 費用について事前に確認したいこと
  • 引っ越しや転院で違う歯科医院に通うときに引き継ぐ情報
目次

インプラントのメンテナンスとは

インプラントは顎の骨から歯ぐきを貫いて口の中に出ているため、常に口の中の細菌や噛む力の影響を受けます。インプラントをどのくらい長く使えるかには個人差があり、治療後も状態を保つには、汚れ(プラーク)や噛む力の管理を続ける必要があります。

日本口腔インプラント学会と日本歯周病学会の見解によると、メンテナンスの目的は、歯ぐきや骨の状態、清掃の状態、インプラントや被せ物の異常、噛み合わせなどを確認し、異常があれば早めに対応して悪化を防ぐことです。自宅での歯みがきだけでは届かない部分の清掃や、自分では気づきにくい変化の確認を、歯科医院で定期的に受けるのがメンテナンスです。

メンテナンスの頻度は3か月〜半年が目安

日本口腔インプラント学会「インプラントのお手入れ」では、通院の頻度を「3カ月〜半年というのが一般的」と案内しています。ただし、決まった間隔が全員に当てはまるわけではありません。

口の中の状態によって間隔を調整する

日本口腔インプラント学会・日本歯周病学会「インプラントのメインテナンスに関する学会見解」では、清掃の状態がよく、インプラントや周りの組織に問題がない人は、一般的に4〜6か月の間隔が適切としています。一方、全身の状態や、残っている歯の歯周病の状態、インプラントの周りの状態、歯みがきの状態などによっては、1〜3か月ごとのように間隔を短くすることが望ましいとの見解です。糖尿病などの持病がある場合の注意点は、インプラントは糖尿病でもできる?HbA1cの考え方・注意点・治療前の準備を解説で確認できます。

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口の中の状態学会見解で示されている間隔
清掃の状態がよく、インプラントや周りの組織に問題がない一般的に4〜6か月ごと
歯周病の状態や歯みがきの状態などから、注意が必要と判断された1〜3か月ごとのように短く調整

ただし同じ見解によると、メンテナンスの間隔についての臨床的な根拠は、まだ十分ではありません。歯周病にかかったことがあるかなども含めて歯科医師が間隔を決めるため、次の予約の時期は担当の歯科医院で確認しましょう。

歯科医院のメンテナンスで行うこと

行うことは、大きく分けて「インプラントの周りの検査」「被せ物やネジ、噛み合わせの点検」「専用の器具でのクリーニング」「清掃方法の確認」の4つです。内容や順番は医院や口の中の状態によって異なります。

インプラントの周りの歯ぐきと骨の検査

細い器具を歯ぐきとインプラントのすき間に入れて深さを測り、そのときに出血や膿が出ないかを確認します。学会見解では、深さがどう変わってきたかを追うと、インプラントの周りに炎症が起きているかを判断しやすくなるとしています。また、出血がないことは、インプラントの周りの組織が健康で安定している目安になります。

あわせて、汚れの付き具合、インプラントの揺れの有無を確認し、必要に応じてレントゲンで周りの骨が減っていないかを調べます。骨の変化は見た目では分からないため、レントゲンで確かめます。

被せ物・ネジ・噛み合わせの点検

インプラントの上に付けた被せ物や、被せ物を固定するネジは、使ううちに緩んだり欠けたりすることがあります。学会見解では、ネジの緩みや破損、被せ物の表面の欠け、すり減りによる噛み合わせの低下などを点検の対象に挙げています。

強い噛む力や歯ぎしり・食いしばりは、こうしたトラブルの原因の一つです。その場合は、噛み合わせを調整したり、夜間に着けるマウスピース(ナイトガード)を使ったりして、負担を減らします。

ネジ穴をふさぐ詰め物が取れた、ネジが見えるといった変化に気づいたときの対処は、次の記事で確認できます。

専用の器具でのクリーニング

自宅の歯みがきでは届きにくい部分の汚れや歯石を、歯科医師や歯科衛生士が取り除きます。学会見解に沿った方法では、インプラントの表面を傷つけないよう、プラスチック製の器具や、先端が樹脂でできた超音波の器具を使い、被せ物はゴム製の器具で磨きます。

ネジで固定している被せ物は、取り外して洗浄できる場合があります。ただし、頻繁に取り外すと周りの組織を傷める原因になるため、外すかどうかは歯科医師が判断します。

自宅での清掃方法の確認

メンテナンスでは、磨き残しがある場所を確認し、口の中の状態に合った清掃方法の指導を受けられます。日本口腔インプラント学会は、歯ブラシを細かく動かして歯ぐきとの境目を磨くこと、歯間ブラシやデンタルフロスで歯とインプラントの間を磨くことを勧めています。指導された磨き方が続けにくいときや、磨きにくい場所があるときは、次のメンテナンスで伝えると、口の状態に合わせて方法を見直してもらえます。

メンテナンスを受けないとどうなる?

定期的な清掃や点検を受けずに汚れがたまると、インプラントの周りに炎症が起きることがあります。炎症は痛みなどの自覚症状がないまま進むことがあるため、気づいたときには進行していた、ということも起こりえます。

インプラント周囲粘膜炎とインプラント周囲炎

インプラントの周りの炎症は、進み具合によって2つに分けられます。

  • インプラント周囲粘膜炎:炎症が歯ぐき(粘膜)だけにとどまり、骨は減っていない状態。清掃の再指導やクリーニングなどで元に戻る可能性がある
  • インプラント周囲炎:炎症が骨まで広がり、インプラントを支える骨が減っていく状態。学会見解では元に戻らない(不可逆性の)炎症とされ、進むとインプラントを失うことにつながる

周囲炎になると、プラークの除去や薬剤での洗浄に加えて、歯ぐきを切開して清掃する手術などが必要になることがあります。日本歯周病学会の「ペリオブック」によると、失われた骨の回復を目的とした再生療法が行われることもあり、これらの治療を行っても改善しない場合は、インプラントを取り除くことになります。なお、学会見解では、周囲炎に対する再生療法を支える臨床的な根拠は、まだ不足しているとされています。

インプラントを取り除くことになった場合の再治療や、ほかの治療法については、次の記事が参考になります。

次の予約を待たずに相談したい変化

次のような変化があるときは、メンテナンスの予約日を待たずに歯科医院へ相談しましょう。

  • インプラントの周りの歯ぐきが腫れている、出血する
  • 膿が出る
  • インプラントの根元が見えてきた
  • インプラントがぐらつく
  • 被せ物が動く、噛んだときに違和感がある

相談するときは、いつから・どのインプラントに・痛みや出血があるかを伝えると、状態を説明しやすくなります。

メンテナンスの費用で確認したいこと

インプラント治療は、条件を満たす一部の場合を除いて自由診療です。メンテナンスの費用は、毎回行う内容(検査、レントゲン、クリーニングなど)や医院の料金の決め方によって変わります。保険が使えるかどうかの扱いも含めて、治療を受ける前に次の点を確認しておくと、治療後にかかる費用の見通しを立てやすくなります。

  • 毎回のメンテナンスの費用と、その費用に含まれる内容
  • レントゲン撮影や、ネジの締め直し・被せ物の修理などが必要になったときの追加費用
  • メンテナンスの費用が、保険診療・自由診療のどちらの扱いになるか
  • 医院の保証がある場合、定期的なメンテナンスを受けていることが保証の条件になっているか

引っ越し・転院時に違う歯科医院へ通うときの注意点

日本口腔インプラント学会は、インプラントのトラブルは、原則として最初に治療を行った歯科医師が治療を続けることが望ましいとしています。転院が難しい理由として、インプラントはメーカーや種類・サイズが多く、どれが使われたか分かりにくいこと、手術や被せ物を入れたときの状況は担当医でないと分からないことを挙げています。

引っ越しなどでやむを得ず転院する場合に、日本口腔インプラント学会「治療中・術後のトラブル対策」が挙げる、転院先へ引き継ぐ情報は次の3つです。

  • どのような種類のインプラントが使われたか
  • 手術の方法
  • どこまで治療費を支払ったか

転院が決まったら、治療を受けた歯科医院に相談し、これらの情報を書面で受け取っておくと、転院先で説明するときに役立ちます。転院先を選ぶときの考え方や、転院の流れは次の記事を参考にしてください。

インプラントのメンテナンスに関するよくある質問

インプラントのメンテナンスは何年続ける必要がありますか?

終わりの時期は決まっていません。日本口腔インプラント学会の「よくあるご質問」では、治療後のよい状態を長く保つために、治療を担当した歯科医師による定期的な経過観察が極めて重要としています。通院を続ける期間や間隔は、担当の歯科医師と相談して決めます。

タバコを吸っているとインプラントに影響しますか?

日本口腔インプラント学会によると、喫煙する人は治療後のインプラントの残存率(使い続けられる割合)が低いことが知られています。日本歯周病学会がインプラント周囲炎の予防として挙げるものにも、喫煙などの生活習慣の見直しが含まれます。喫煙している場合は、メンテナンスの際に歯科医師へ伝えてください。

天然の歯の定期検診と一緒に受けられますか?

学会見解では、メンテナンスで確認する項目に、インプラントの周りだけでなく、残っている歯の歯周病の状態や噛み合わせも含まれます。天然の歯とインプラントを同じ日に確認するかどうかは医院によって異なるため、予約のときに確認しましょう。

まとめ

インプラントのメンテナンスは、3か月〜半年が一般的な目安で、間隔は口の中の状態に合わせて決まります。歯科医院では、インプラントの周りの歯ぐきと骨の検査、被せ物・ネジ・噛み合わせの点検、専用の器具でのクリーニング、清掃方法の確認を行います。

インプラントの周りの炎症は、自覚症状がないまま進むこともある点に注意が必要です。痛みがなくても予約どおりに通い、変化を早めに見つけてもらいましょう。治療を受ける前に、メンテナンスの間隔と費用、保証の条件、引っ越したときの対応を医院に確認しておきましょう。

参考文献

医療広告について

自由診療に関する詳細内容

インプラント治療は、条件を満たす一部の場合を除いて公的医療保険が適用されない自由診療のため、費用は全額自己負担です。

  • 治療内容:顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、骨と結合したあとに人工の歯を取り付ける。治療後は、歯科医院での定期的なメンテナンスで、インプラントの周りの組織や被せ物の状態を確認する
  • 費用(税込)の目安:本数、骨造成の有無、人工の歯の素材、医院の料金体系によって異なるため、検査後の見積もりで総額を確認する。治療後のメンテナンスの費用も医院によって異なる
  • 治療期間の目安:インプラントを埋め込んだあと、骨と結合するまで下の顎で2〜3か月程度、上の顎で4〜6か月程度おいてから人工の歯を作る(日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」)。治療後のメンテナンスは3か月〜半年ごとが一般的な目安
  • 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・出血、感染、神経の損傷によるしびれ、骨との結合不全、インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎、人工の歯やネジの緩み・破損
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  • 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
  • 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。
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著者情報

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