インプラントがダメになったら入れ歯しかない?除去(撤去)の費用・リスクと再治療の選択肢

インプラントがダメになったら入れ歯しかない?再治療や代替治療の選択肢を解説

インプラントがグラつく、インプラント周囲炎が進んだなどで使い続けるのが難しくなっても、入れ歯に替えることだけが選択肢ではありません。炎症の状態によっては、周りの清掃や薬剤を使った処置などでインプラントを残す治療を行い、残せない場合は除去(撤去)してから、再治療・ブリッジ・入れ歯を検討します。

どの方法が合うかは、骨や歯ぐきの状態、残っている歯によって変わるため、検査を受けて判断します。インプラントに不具合が起きる主な原因、症状に応じた対応、除去する場合のリスクと費用の確認点、除去後の治療の選択肢を整理します。

この記事で分かること

  • インプラントにトラブルが起きる主な原因と症状
  • 症状の程度に応じた対応と、インプラントを除去(撤去)する場合のリスク・費用の確認点
  • インプラント除去後の再治療・ブリッジ・入れ歯の違い
目次

インプラントにトラブルが生じる主な原因・リスク要因

インプラントの不調には、次のような原因やリスク要因があります。

  • インプラント周囲炎:細菌(プラーク)によってインプラントの周りに炎症が起き、支えている骨が減っていく病気
  • 骨との結合不全:インプラントと骨が十分に結合しない、または結合が失われた状態
  • 過度な負荷:噛み合わせや歯ぎしりなどで、インプラントや部品に強い力がかかり続ける状態
  • 生活習慣の影響:喫煙や、歯みがき・定期的な清掃が行き届かないこと

日本口腔インプラント学会は、インプラントは骨とはしっかり結合する一方、歯ぐき(粘膜)との結合が天然の歯より弱く、感染に弱いことを欠点に挙げています。そのため、定期的に歯科医院で状態を診てもらうことが欠かせません。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」

参考:日本歯周病学会「インプラントの歯周病「インプラント周囲炎」について日本歯周病学会が解説します!」

症状別の対応策

インプラント周囲炎は、次のような症状で気づくことがあります。自覚症状が少ないまま進むこともあるため、当てはまるものがあれば早めに治療を受けた歯科医院で診てもらいましょう。

  • 歯ぐきの腫れや出血
  • 膿が出る
  • インプラントの根元が見えてきた
  • インプラントがグラグラ動く

不具合が起きたときは、まず検査で原因と骨の状態を確かめます。同じ「グラつき」でも、被せ物(上部構造)を留めているネジの緩みや部品の不具合のこともあれば、インプラント本体と骨の結合が失われていることもあり、対応が変わります。

  • 炎症がみられる場合は、まずインプラントの周りのプラーク(細菌のかたまり)を取り除く清掃を行い、必要に応じて薬剤による洗浄や抗菌薬の服用などを行います。
  • 清掃などで改善しない場合は、歯ぐきを切開してインプラントの表面を清掃する外科的な治療や、骨の欠損の状態によっては失われた骨の回復を目指す再生療法を検討する場合もあります。
  • 治療してもインプラント周囲炎が改善しない、骨との結合が失われて動くなど、インプラントを維持するのが難しいときは、除去(撤去)が必要になることがあります。

参考:日本歯周病学会「歯周病患者におけるインプラント治療の指針2018」

参考:独立行政法人国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか」

インプラントを除去(撤去)する場合

インプラントの除去は、「撤去」「インプラントを抜く」とも呼ばれます。検討されるのは、主に次のような場合です。

  • インプラント周囲炎が進み、清掃・外科的な治療・再生療法を行っても改善しない
  • インプラントと骨の結合が失われ、インプラント本体が動く
  • インプラント本体が破損するなど、修理で対応できない
  • インプラントが原因で、唇やあごのしびれなど神経の麻痺が出ている

除去を勧められたら、処置の前に次の点を歯科医師に確認しておきましょう。説明を聞いても迷うときは、別の歯科医院で同じ点を聞いてみると比べやすくなります。

  • 骨の状態と、インプラントを残せる可能性はあるか
  • 除去の方法と、起こりうるリスク
  • 除去後に選べる治療と、次の治療を始めるまでにかかる期間
  • 費用の内訳(下の表を参照)

除去のリスク・費用

除去は外科的な処置のため、処置後の痛み・腫れ・出血などが起こることがあります。また、インプラント周囲炎で骨が大きく減っている場合は、除去後に骨を増やす処置(骨造成)が必要になったり、同じ場所へのインプラントが難しくなったりすることがあります。

日本口腔インプラント学会も、問題が起きた場合に解決が難しいことをインプラント治療の欠点に挙げています。除去の費用は、原因や本数、処置の内容によって異なり、公的な目安は示されていません。国の診療報酬には「歯科インプラント摘出術」があり、処置の内容や治療を受ける医療機関などによって、保険診療になる場合と自由診療になる場合があります。見積もりでは、次の点を確認しておくと比較しやすくなります。

スクロールできます
確認したいこと内容
検査エックス線撮影やCT検査の費用が含まれているか
除去の処置1本あたりの費用か、処置全体の費用か。保険が適用されるか、その場合の自己負担額
追加の処置骨造成や歯ぐきの処置が必要になった場合の費用
除去後の期間治癒を待つ間の仮の歯や入れ歯の費用
次の治療再治療・ブリッジ・入れ歯それぞれの見積もり
保証治療を受けた歯科医院の保証の対象になるか、その条件

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのメリット・デメリット」

参考:厚生労働省「歯科診療報酬点数表」(J082 歯科インプラント摘出術)

参考:厚生労働省「歯科インプラント治療のためのQ&A」

インプラント除去後の代替治療の選択肢|再治療・ブリッジ・入れ歯

除去が必要になった場合、次のような治療が検討されます。インプラント再治療(再埋入)は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療です。ブリッジや入れ歯は、材料や設計によって費用が変わるため、見積もりで確認します。

スクロールできます
比較項目インプラント再治療(再埋入)ブリッジ入れ歯
内容の概要治癒を待って、新しいインプラントを埋める両隣の歯を削って土台にし、橋渡しの歯を固定する取り外し式の義歯を装着する
固定か取り外しか固定式固定式取り外し式
手術必要原則不要原則不要
周りの歯への影響周りの歯を削らない両隣の歯を削る部分入れ歯は、残っている歯に金具をかけて支える
主な注意点骨が足りない場合は骨造成が必要になり、期間が延びる。骨の量や全身の状態によっては適さない両隣の歯の状態によっては適さない慣れるまで違和感があり、合わなくなったら調整や作り直しが必要

インプラントを撤去したあとに入れ歯にする場合は、残っている歯の状態によって部分入れ歯か総入れ歯かが決まります。すべてを入れ歯に替えるほかに、条件によっては、残せるインプラントに留め具(アタッチメント)を付けて入れ歯を安定させる方法(インプラントオーバーデンチャー)もあります。自分で入れ歯を取り外して手入れできるのが特徴です。

参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「歯の治療の流れ」

トラブルを防ぐためのメンテナンス

インプラントを長く使うには、毎日のセルフケアと歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。

  • セルフケア:歯ブラシで歯ぐきとの境目を丁寧に磨きます。すき間の小さいところはデンタルフロス、大きいところは歯間ブラシ、インプラントの根元などの細かい部分はタフトブラシを使うと汚れを落としやすくなります。
  • 定期メンテナンス:日本口腔インプラント学会は、頻度は口の状態によって異なるとしたうえで、3か月〜半年に1回を目安に挙げています。気づきにくい変化を確認し、クリーニングを受けます。
  • 歯ぎしり・食いしばりへの対策:歯ぎしりなどの癖がある場合は、インプラントに強い力がかかり続けないよう、ナイトガード(マウスピース)の装着が勧められることがあります。
  • 生活習慣の見直し:日本歯周病学会の指針は、喫煙がインプラント治療や抜歯後の治りを遅らせるとしています。除去後に再治療を考える場合も含め、禁煙を検討します。

メンテナンスの間でも、腫れや出血、グラつきなど気になる変化があれば、治療を受けた歯科医院に早めに連絡してください。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントのお手入れ」

インプラントに関するよくある質問(FAQ)

インプラントがダメになったら入れ歯しかないですか?

入れ歯だけではありません。炎症の状態によっては、清掃や薬剤を使った処置でインプラントを残すことを目指します。除去が必要な場合も、治癒を待ってからの再治療、ブリッジ、入れ歯から、骨や残っている歯の状態に合わせて選びます。

インプラントを除去(撤去)するのは難しいですか?

骨としっかり結合しているかどうかや、インプラントの位置によって、処置の方法や体への負担が変わります。自分の場合はどのような方法になるのか、起こりうるリスクとあわせて、処置の前に歯科医師に確認してください。

インプラントを除去したあと、すぐに次の治療を始められますか?

多くの場合、除去した部分の骨や歯ぐきが回復するのを待ってから次の治療を始めます。待つ期間は骨の状態や骨造成の有無によって異なるため、除去の前に、治療全体にかかる期間の見通しも聞いておきましょう。

再インプラントは最初より失敗しやすいですか?

骨の状態や、最初のインプラントが使えなくなった原因などによって異なります。再治療を考える場合は、インプラント周囲炎、噛み合わせ、喫煙など、最初のトラブルに関係した要因を確認・改善したうえで治療計画を立てます。

インプラントを全部抜くことはできますか?

口の状態によっては、複数のインプラントを除去することもあります。本数が多いほど、処置の負担や除去後の骨・歯ぐきの状態が変わります。位置や本数などの条件によっては残せるインプラントを入れ歯の支えとして使える場合もあるため、すべて除去するかどうかも含めて歯科医師と相談して決めます。

まとめ

インプラントがダメになったときの選択肢は、入れ歯のほかにもあります。炎症の状態によってはインプラントを残す治療を行い、除去(撤去)が必要な場合も、再治療・ブリッジ・入れ歯から骨や残っている歯の状態に合わせて選べます。

除去を勧められたときは、除去の方法とリスク、除去後の治療の見通し、費用の内訳を確認してから判断しましょう。まずは治療を受けた歯科医院で検査と説明を受け、納得できない点があれば別の歯科医院の意見も聞いてみてください。

関連記事:日光市でインプラント治療をするならおすすめしたい歯科クリニック5院

参考文献

医療広告について

自由診療に関する詳細内容

インプラント治療(再治療を含む)は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療のため、費用は全額自己負担です。

  • 治療内容:顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、骨と結合したあとに人工の歯を取り付ける。インプラントを除去した場合は、骨や歯ぐきの回復を待ってから再び埋め込む。骨が足りない場合は骨造成などを行う
  • 費用(税込)の目安:本数、骨造成の有無、人工の歯の素材、医院の料金体系によって異なるため、検査後の見積もりで総額を確認する
  • 治療期間の目安:日本口腔インプラント学会によると、インプラントを埋め込んだあと、骨と結合するまで下の顎で2〜3か月程度、上の顎で4〜6か月程度おいてから人工の歯を作る。除去後の回復期間や骨造成を行う場合はさらに長くなる
  • 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・出血、感染、骨との結合不全、インプラント周囲炎、人工の歯やネジの緩み・破損
医療広告について
  • 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
  • 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。
この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!

著者情報

「best choice(ベストチョイス)歯科 byGMO」は、検索機能を使って地域と診療内容を絞り込み、ベストな歯科医院を探せるポータルサイトです。
一般歯科、小児歯科、審美治療、矯正治療など、ご自身にとって今必要な治療を最適なクリニックで受けることができます。

目次