インプラントは、顎の骨の成長が止まってから受けられる治療で、何歳までという一律の上限はありません。日本歯科医師会によると、顎の骨は一般に女性で18歳、男性で20歳くらいに成長が止まります。それ以降は年齢よりも、顎の骨量や全身の状態、治療後も通院を続けられるかで適応が判断されます。
この記事でわかること
- インプラントを何歳から何歳まで受けられるか
- インプラントを入れている人の年代別の割合
- 年代ごとの検討ポイントと、年齢より重視される条件
インプラントに年齢制限はある?何歳から何歳まで受けられるか
年齢の下限と上限には、それぞれ次のような目安があります。ただし年齢だけで可否が決まるわけではなく、最終的には検査の結果をもとに歯科医師が判断します。
何歳から|顎の骨の成長が止まってから
日本歯科医師会は、成長発育中の子どもには基本的にインプラント治療を行わないとしています。インプラントは骨と結合するため、そのあとに顎の骨が成長すると、インプラントが骨の中に埋もれてしまうからです。
同会は、治療を始めるのは骨の成長が止まってからがよいと説明しています。成長の終わる時期には個人差があるため、10代で歯を失った場合は、インプラントを入れられる時期までの補い方を歯科医師と相談します。
何歳まで|上限はなく、全身の状態で判断する
インプラント治療に、何歳までという決まった上限はありません。日本歯科医師会によると、高齢者でも抜歯などの手術を受けられる健康状態であれば治療は可能です。日本歯科医学会の「歯科インプラント治療指針」も、治療を希望する人の年齢を20歳代から80歳くらいまでと幅広く挙げています。
ただし同じ指針は、治療法の選択には、全身や口の中の状態に加えて年齢による制限もあると述べています。持病がある、骨の量が少ないといった場合は、手術の負担や治療後の管理まで含めて検討します。
参考:日本歯科医学会「歯科インプラント治療指針」(厚生労働省掲載)
インプラントを受ける人が多い年代と割合
厚生労働省の令和6年歯科疾患実態調査では、インプラントを装着している人の割合は15歳以上全体で3.2%でした。年代別では75〜79歳の7.6%が最も高く、20〜29歳では0.0%、30〜39歳でも0.4%以下にとどまります。日本歯科医師会によると、インプラント治療の中心は、歯を失う人が増える40代後半から60代です。
| 年齢 | 歯を失った人の割合 | インプラントを装着している人の割合 |
|---|---|---|
| 20〜24歳 | 0.5% | 0.0% |
| 25〜29歳 | 0.9% | 0.0% |
| 30〜34歳 | 8.6% | 0.0% |
| 35〜39歳 | 9.9% | 0.4% |
| 40〜44歳 | 16.6% | 0.0% |
| 45〜49歳 | 26.0% | 3.9% |
| 50〜54歳 | 32.8% | 0.6% |
| 55〜59歳 | 42.6% | 2.3% |
| 60〜64歳 | 60.3% | 2.3% |
| 65〜69歳 | 74.4% | 6.2% |
| 70〜74歳 | 81.9% | 4.3% |
| 75〜79歳 | 89.3% | 7.6% |
| 80〜84歳 | 89.9% | 3.9% |
| 85歳以上 | 96.0% | 2.3% |
出典:厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査 結果の概要」表12・表14(歯を失った人の割合は、永久歯を1本以上失っている人の割合)
歯を失った人の割合は30代前半から増え始め、60代前半で6割を超えます。インプラントの割合は、45〜49歳の3.9%から50〜54歳の0.6%へ下がるなど、年代によって数値に上下があります。
この調査の対象者は年代ごとに百数十人から千人程度のため、人数の少ない年代では数値が動きやすい点に注意してください。失った歯を補う方法の内訳では、80歳未満のどの年代でもブリッジを装着している人の割合が最も高くなっています。
年代別に見たインプラントの注意点
20代・30代|治療後の管理が長く続く
上の表のとおり、20代・30代で歯を失っている人は少なく、インプラントを入れている人もごくわずかです。この年代で歯を失う背景には、虫歯や歯周病のほか、けがや、生まれつき歯が足りない先天性欠如などがあります。
骨の成長が止まっていれば、若いことだけを理由にインプラントを見送る必要はありません。一方で、若いうちに入れるほど、インプラントを使い続ける年数とメンテナンスを続ける期間は長くなります。転居や出産などで生活が変わっても定期的に通院できるか、治療を受けた医院に通えなくなったときにどう引き継ぐかも、治療前に確かめておきましょう。
メンテナンスで何をするのか、通う頻度や転院するときの注意点は、次の記事にまとめています。

40代・50代|歯を失う人が増え始める
歯を失った人の割合は、40代前半の16.6%から50代後半の42.6%まで増えます。インプラントを検討する人が増えるのもこの年代からです。
歯周病で歯を失った場合は、インプラントの前にその治療を済ませます。炎症が残ったままでは、インプラントを長く保ちにくいためです。
失った歯の本数や位置によっては、インプラントのほか、ブリッジや部分入れ歯も選択肢に入ります。費用や治療期間、隣の歯への影響を比べて選びましょう。
60代以降|持病・服薬と、通院を続けられるかを確かめる
60代以降は、持病や服用している薬の確認がより重要になります。日本歯科医学会の指針は、全身の状態は年を重ねるにつれて変わり、治療後の経過も変わりうるため、定期的な受診が欠かせないとしています。治療を受ける時点の健康状態だけでなく、将来、自分で歯みがきや通院を続けにくくなったときにどう管理していくかも、治療前に歯科医師と話しておくと見通しを立てやすくなります。
年齢より重視される条件
日本口腔インプラント学会は、インプラント治療は手術を伴い、治療後も十分なケアが必要なため、誰でも受けられるわけではないとしています。年齢にかかわらず、主に次の条件を検査や問診で確認します。
- 顎の骨の量:骨が足りない場合、そのままでは治療が難しくなる。骨を増やす手術(骨造成)を前もって、または同時に行えば治療できることもあるが、体への負担は増える
- 全身の病気:高血圧症や心臓の病気、喘息、糖尿病、骨粗しょう症、腎臓や肝臓の機能障害がある場合は注意が必要
- 服用している薬:薬によってはインプラント治療が適さないことがある。日本歯科医学会の指針では、骨粗しょう症などに使われるビスフォスフォネート系薬剤、血液をさらさらにする薬、ステロイド薬をリスク因子に挙げている
- 歯周病:歯周病がある人は、治療後のインプラントの残存率が低いことが知られている
- 喫煙:喫煙する人も残存率が低いことが知られており、減煙または禁煙してから治療を受けることがすすめられている
顎の骨の状態はレントゲンのほか、必要に応じてCTでも調べます。学会によると、すべての症例でCTが必須とはいえないものの、骨の立体的な形や神経・血管の位置が分かるため、より安全な治療につながります。
持病や服用中の薬は、担当の歯科医師に正確に伝えてください。指針では、全身の病気がある場合は主治医に照会したうえで、歯科医師がリスクを総合的に判断するとしています。
糖尿病がある方のインプラント治療の考え方は、次の記事で確認できます。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」
インプラントの年齢に関するよくある質問
まとめ
インプラントは、顎の骨の成長が止まる18〜20歳ごろ以降であれば、年齢の上限なく検討できる治療です。実際には歯を失う人が増える40代後半以降に多く、どの年代でも、骨の量、持病や服薬、歯周病、喫煙、治療後に通院を続けられるかをもとに、受けられるかどうかが判断されます。
自分の年齢で受けられるか迷ったら、まずは検査を受け、インプラントを含む複数の治療法の説明を聞いて比べてみてください。

医療法人煌潤会 赤羽駅前歯科 院長
西川 健太(にしかわ けんた)先生
日本大学松戸歯学部卒。国際口腔インプラント学会(ISOI)認定医・専門医、DGZI Japan認定医、厚生労働省認定臨床研修指導医。
インプラント治療歴25年以上、手術実績は通算1万本以上。
ストローマン社エクセレンスパートナーに選出され、ザイゴマインプラント等の難症例にも対応する。
自由診療に関する詳細内容
インプラント治療は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療のため、費用は全額自己負担です。
- 治療内容:顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、骨と結合したあとに人工の歯を取り付ける。骨が足りない場合は骨造成などを行う
- 費用(税込)の目安:本数、骨造成の有無、人工の歯の素材、医院の料金体系によって異なるため、検査後の見積もりで総額を確認する
- 治療期間の目安:インプラントを埋め込んだあと、骨と結合するまで下の顎で2〜3か月程度、上の顎で4〜6か月程度おいてから人工の歯を作る。骨造成を行う場合はさらに長くなる(日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」による)。埋め込んだあとに歯ぐきをもう一度開く手術がない方法(1回法)とある方法(2回法)があり、骨造成を別に行う場合はその手術も加わる。通院は検査・手術・型取り・人工の歯の装着と、治療後の定期的なメンテナンスで続く。期間や経過には個人差がある
- 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・出血、感染、神経の損傷、骨との結合不全、インプラント周囲炎、人工の歯やネジの緩み・破損
- 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
- 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。


