インプラント手術後の経過と過ごし方|腫れ・しびれなど正常と異常の見分け方

インプラント手術後の経過と過ごし方 腫れ・しびれなど正常と異常の見分け方

インプラント手術後は、麻酔が切れたあとに痛みや腫れが出たり、顔の一部に内出血が出たりすることがあり、多くは日を追って落ち着きます。一方で、出血が止まらない、腫れや痛みが強まる、唇やあごのしびれが続くといった場合は、様子を見ずに手術を受けた歯科医院へ連絡が必要です。

この記事でわかること

  • インプラント手術後の経過と、人工の歯が入るまでの流れ
  • 様子を見てよい症状と、歯科医院へ連絡したい症状の見分け方
  • 手術当日から1週間ほどの過ごし方と食事で確認しておきたいこと
  • しびれ・鼻の症状など、手術後に気づくことがある後遺症・合併症と相談先
目次

インプラント手術後の経過|当日から人工の歯が入るまで

手術後の経過は、手術の範囲(歯ぐきを切開したか、骨を増やす処置をしたか)や部位、体の状態によって変わります。次の表はおおまかな流れで、通院の予定は歯科医院ごとに異なります。

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時期起こりやすいことこの時期に確認しておくこと
手術当日麻酔が切れると痛みが出てくる。にじむ程度の出血薬の飲み方、うがい・歯みがき、食事、入浴の注意
数日後まで手術した部分が腫れやすい。顔の一部に内出血が出ることがある腫れや痛みが日を追って引いているか
1〜2週間ごろ腫れはおおむね引いている。糸を取る(抜糸)ための通院がある場合がある次の通院日、仮歯の使い方
骨と結合するまで見た目の変化は少ないが、インプラントと骨が結合していく手術した部分で強く噛まない、定期的な通院
人工の歯が入ったあと通常の食事に近づく定期的なメンテナンス

インプラントと骨が結合するまでの期間について、日本口腔インプラント学会は、下の顎で2〜3か月程度、上の顎で4〜6か月程度おいてから型を採って人工の歯を作ると説明しています。骨の状態や骨を増やす処置の有無によって前後します。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」

手術後に起こりやすい症状と正常な範囲の目安

腫れ・内出血

インプラント手術のあとは、手術した部分が腫れます。腫れの程度は手術の内容によって異なり、日を追って引いていくのが一般的な経過です。手術の影響で内出血が起き、顔の一部が紫色になることもあります。

神奈川県歯科医師会のQ&Aによると、通常のインプラント治療で顔などが目立って腫れることは基本的になく、骨をつくる処置などのために歯ぐきを大きく切開した場合に腫れることがあります。その場合も、腫れのピークは通常術後3日までで、遅くとも1週間以内に引くとされます。腫れ方や引くまでの日数には個人差が出ます。

日ごとに強くなる、熱を伴うなど、連絡したほうがよい腫れの目安は、次の「正常と異常の見分け方」の表で確認できます。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」、公益社団法人神奈川県歯科医師会「インプラントのQ&A ~痛み・腫れ・危険性など~」

痛み

手術中は局所麻酔を使うため痛みを感じにくいものの、麻酔が切れると痛みが出てきます。日本口腔インプラント学会は、術後の痛みは症例や感じ方によって異なるものの、通常は鎮痛薬を数回服用する程度で次第に治まるとし、長く続く場合は担当医に問い合わせるよう案内しています。

問い合わせるときは、鎮痛薬を飲んだ回数と時間、飲んだあとに痛みがどの程度和らいだか、痛みが日ごとに軽くなっているかを伝えると、受診が必要かを判断してもらいやすくなります。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」

出血

手術当日は、唾液に血がにじむのはよくある経過です。にじむ程度であれば、手術後に説明されたとおり清潔なガーゼを噛んで押さえるなどの方法で様子を見ます。押さえても止まらない出血や、口の中に血がたまるほどの出血は、すぐに連絡してください。

血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいる方は、手術前に伝え、手術後の出血への対応も確認しておく必要があります。

正常と異常の見分け方|様子を見てよい症状とすぐ連絡したい症状

手術後の症状は、「日を追って軽くなっているか」が見分ける手がかりになります。判断に迷うときは、軽い症状でも手術を受けた歯科医院に電話で相談してかまいません。

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症状経過として起こりうる範囲早めに連絡したいすぐに連絡したい
出血唾液ににじむ程度数日たっても続く押さえても止まらない
腫れ数日以内にピークを迎え、その後引いていく引かない、また腫れてきた急に強まる、熱を伴う、息苦しさや飲み込みにくさがある
痛み鎮痛薬で和らぎ、日ごとに軽くなる長く続く鎮痛薬が効かないほど強い
しびれ麻酔が切れるまでの感覚のなさ―麻酔が切れる時間を過ぎても唇・あご・舌のしびれや感覚の鈍さが続く
鼻の症状(上の奥歯)―鼻づまりや鼻水が続く鼻から血や膿のようなものが出る、顔の痛みや腫れを伴う
インプラント動かない―手術したインプラントや仮のふたが動く・外れた
全身―だるさが続く発疹や息苦しさ(薬が合わない可能性)、高い熱

夜間や休診日で歯科医院に連絡がつかず、強い出血や腫れ、高い熱などがあるときは、救急の医療機関の受診を検討してください。救急車を呼ぶべきか、すぐに受診すべきかで迷う場合は、救急安心センター事業(#7119)で医師・看護師などに相談できます。#7119は全国42地域で実施されていますが、実施していない地域や、#7119以外の番号で救急電話相談を受け付けている地域もあるため、お住まいの地域の相談先を前もって確認しておきましょう。

参考:総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」

手術後に気づくことがある後遺症・合併症

日本歯科医学会の「歯科インプラント治療指針」(厚生労働省の事業で作成)は、インプラント手術に関連する偶発症・合併症のうち、神経の麻痺、上顎洞炎、上顎洞への異物の迷入、異常出血などは頻度が比較的高いと記載しています。手術後にしびれや鼻の症状などに気づいたら、早めに歯科医院へ伝えると、検査や対応を早く始められます。

下の奥歯:唇やあごのしびれ・麻痺(神経の損傷)

指針では、下の奥歯の手術で神経(下歯槽神経)を傷つけることがあり、損傷すると回復が難しく治療が長期にわたることがあるとされています。

麻酔が切れているはずの時間を過ぎても、下唇・あご・舌などのしびれや感覚の鈍さが残る場合は、様子を見ずに連絡してください。歯科医院では、しびれの範囲や程度を調べる検査、エックス線写真やCTなどで、インプラントと神経の位置関係を確認します。必要に応じて、口腔外科など専門の医療機関を紹介されることもあります。

上の奥歯:鼻の症状と上顎洞炎

上の奥歯の上には、上顎洞(じょうがくどう)という鼻とつながった空洞があります。指針では、インプラントを埋める穴がこの空洞に近い場合、空洞の粘膜に穴があいた場合、空洞の底を持ち上げて骨を増やす処置(サイナスリフトなど)を行った場合などに、上顎洞炎が起こることがあると書かれています。治療はまず抗菌薬で炎症を抑えますが、重い場合はインプラントの撤去などが必要になる可能性もあります。

上の奥歯の手術後に、鼻や上顎洞に負担をかけないための注意を受けた場合はその説明に従い、鼻づまりや鼻水が続くときは歯科医院に伝え、鼻から血や膿のようなものが出る、頬の痛みや腫れを伴うときはすぐに連絡しましょう。

参考:日本歯科医学会「歯科インプラント治療指針」(厚生労働省ウェブサイト掲載)

感染・インプラントの動揺や脱落

手術した部分に細菌が感染すると、腫れや痛みが引かない、膿が出るといった症状が出ることがあります。また、指針は、埋めた時点でインプラントがしっかり固定されなかった場合などに、手術後にインプラントが抜け落ちることがあり、骨の量が少ない部位や、骨を増やす処置と同時に埋めた場合に起こりやすいとしています。

インプラントや、上に付けたふた(カバースクリュー・仮の部品)が動く、外れたと感じたら、自分で戻そうとせず、外れた部品は保管して歯科医院に連絡しましょう。

相談先

手術後の症状は、まず手術を受けた歯科医院に相談します。手術の内容や使ったインプラントの情報を把握しているので、原因を見極めて対応しやすいからです。日本口腔インプラント学会も、治療した部分を含めて口の中に変わったことがあれば、治療を受けた歯科医院にすぐ連絡して診てもらうよう呼びかけています。説明に納得できない場合や、しびれなど専門的な対応が必要な場合は、口腔外科のある病院や大学病院などで意見を聞く方法もあります。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」

手術当日から1週間ほどの過ごし方

手術後の注意は、手術の範囲や体の状態によって歯科医院ごとに異なります。一律の日数ではなく、手術当日に受けた説明が基準です。帰宅前に次の点を確認しておくと、迷わずに済みます。

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項目確認しておきたいこと
薬抗菌薬・鎮痛薬の飲み方と飲む期間、飲み忘れたとき
冷やし方腫れた部分を冷やすか、冷やす場合の方法と期間(自己判断で強く冷やし続けない)
うがいうがい薬(含嗽剤)の使い方、うがいの強さと回数
歯みがき手術した部分の周りをいつから、どのように磨くか
入浴・運動湯船・サウナ・運動をいつから再開してよいか
飲酒いつから飲んでよいか(服薬中の飲酒も含めて)
喫煙いつまで控えるか
仕事力仕事・人前で話す仕事など、仕事内容に合わせた休み方
連絡先夜間・休診日の連絡方法

薬は指示どおりに飲み切る

日本歯科医学会の指針によると、口の中の手術であることから、手術後も抗菌薬とうがい薬が使われ、痛みを和らげるために鎮痛薬が処方されます。抗菌薬は、痛みや腫れが落ち着いても自己判断でやめず、指示された期間飲み続けてください。

発疹やかゆみなど薬が合わないと感じる症状が出たときは、服用を続けてよいか歯科医院に確認します。市販の痛み止めを追加で飲みたいときも、先に相談が必要です。

入浴・運動・飲酒の再開時期と、手術した部分への刺激

再開してよい時期は、手術の内容と回復の様子を見て歯科医院が判断します。上の表の入浴・運動・飲酒の項目を手術当日の説明で確認し、指示された時期までは控えるのが基本です。抜糸や次の通院の際に、再開してよいかをあらためて聞いておくと、自己判断で早めずに済みます。傷口を舌や指でさわったり、強いうがいをしたり、手術した側で噛んだりすることも避けます。

喫煙は控える

指針によると、たばこに含まれるニコチンは細い血管を縮めるため、手術後の傷の治りに必要な血流と酸素の運搬が不足します。一酸化炭素も、血液が酸素を運ぶ力を下げます。そのため喫煙は傷の治りを悪くし、骨との結合にも影響し、インプラント周囲炎の悪化を招く可能性が高いとしています。日本口腔インプラント学会も、喫煙によってインプラントの成功率が下がることから、治療前からの禁煙を勧めています。

参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「禁煙宣言」

インプラント手術後の食事|いつから・何を食べるか

麻酔が切れるまでは食事を控える

麻酔が効いている間は唇や頬の感覚が鈍いため、噛んでしまったり、熱いもので口の中をやけどしたりしても気づきにくくなります。麻酔が切れるまでの時間は手術の範囲などによって違うため、食事は歯科医院に指示された時間を目安に、唇や頬の感覚が戻ったことを確かめてから始めます。決められた時間を過ぎても感覚が戻らない場合は、しびれの可能性があるため歯科医院へ連絡します。

手術後しばらくは、やわらかく刺激の少ないものを

手術した部分に負担をかけないよう、手術後しばらくは、手術していない側でゆっくり噛める、やわらかく刺激の少ない食事が向いています。どこまで硬いものを食べてよいか、いつまで控える食べ物があるかは手術の内容によって変わるため、帰宅前に歯科医院へ確認しておきましょう。

食事のあとは、手術した部分に食べかすが残らないよう、指示された方法で口の中を清潔に保ちます。

普通の食事に戻す時期

腫れや痛みの引き方、抜糸の有無、仮歯の有無によって、元の食事に戻せる時期は変わります。仮歯が入っている場合も、骨と結合するまでは手術した部分で硬いものを噛まないよう注意を受けることがあります。腫れや痛みが引いても自己判断で硬いものに戻さず、抜糸や通院のたびに、どこまで硬いものを食べてよいかを確認しておくと、元の食事に戻す目安がつかめます。

骨と結合したあとも続く通院とケア

インプラントが骨と結合し人工の歯が入ったあとも、定期的な通院が続きます。「歯科インプラント治療指針」が示すメンテナンス(定期的な検査と処置)の間隔は、2〜6か月に1回です。

日本口腔インプラント学会によると、インプラントは骨としっかり結合する一方で、天然の歯に比べて歯ぐき(粘膜)との結合が弱く、感染しやすいのが弱点です。指針は、インプラントの周りに炎症が起きるインプラント周囲炎などを早く見つけて治療することを、メンテナンスの目的に挙げています。そのため、歯科医院での定期的なチェックと、自宅での歯みがきを続けることが、インプラントを長く使うための基本になります。

参考:日本歯科医学会「歯科インプラント治療指針」(厚生労働省ウェブサイト掲載)、公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」

インプラント手術後に関するよくある質問(FAQ)

インプラント手術後、お酒はいつから飲めますか?

一律の日数はなく、手術の範囲や回復の様子、飲んでいる薬によって変わります。抗菌薬や鎮痛薬を飲んでいる間は特に、再開してよいかを歯科医院に確認してからにします。

インプラント手術後の安静期間はどれくらいですか?

手術当日は、激しい動きや長時間の外出を避けて体を休めるよう説明されることが多いです。翌日以降に家事や仕事、運動をどこまでしてよいかは、手術の内容によって決まります。

インプラント手術後にやってはいけないことは?

主に、手術した部分への刺激と喫煙です。傷口を触る、強くうがいをする、手術した側で硬いものを噛むといった行動を避け、たばこは控えます。入浴・運動・飲酒は、再開してよい時期を手術当日の説明で確認します。

インプラント手術の翌日から仕事に行けますか?

手術の範囲や仕事内容によって異なります。力仕事や人と話すことが多い仕事などは、手術前に仕事内容を伝え、休む日数を相談しておくと予定を立てやすくなります。

インプラント手術後のしびれは治りますか?

麻酔によるしびれは、麻酔が切れると治まります。麻酔が切れる時間を過ぎても唇やあごのしびれが続く場合は、神経の損傷や圧迫の可能性があるため、早めの検査が必要です。神経が損傷している場合は回復が難しく、治療が長期にわたることもあります。

まとめ

インプラント手術後の腫れ・痛み・内出血は、日を追って引いていくのが一般的な経過です。症状が軽くならない、強まる、しびれや鼻の症状が続くといった場合は、「正常と異常の見分け方」の表を目安に、様子を見ずに歯科医院へ連絡を入れます。

過ごし方や食事の注意は手術の内容によって異なるため、帰宅前に薬・うがい・入浴・飲酒・喫煙・連絡先を確認し、判断に迷う症状は手術を受けた歯科医院に電話で相談しましょう。

西川 健太先生

医療法人煌潤会 赤羽駅前歯科 院長

西川 健太(にしかわ けんた)先生

日本大学松戸歯学部卒。国際口腔インプラント学会(ISOI)認定医・専門医、DGZI Japan認定医、厚生労働省認定臨床研修指導医。

インプラント治療歴25年以上、手術実績は通算1万本以上。

ストローマン社エクセレンスパートナーに選出され、ザイゴマインプラント等の難症例にも対応する。

医療法人煌潤会 赤羽駅前歯科

自由診療に関する詳細内容

インプラント治療は、原則として公的医療保険が適用されない自由診療のため、費用は全額自己負担です。

  • 治療内容:顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、骨と結合したあとに人工の歯を取り付ける。骨が足りない場合は骨造成などを行う
  • 費用(税込)の目安:本数、骨造成の有無、人工の歯の素材、医院の料金体系によって異なるため、検査後の見積もりで総額を確認する
  • 治療期間・回数の目安:手術は、埋め込みの1回で済む方法(1回法)と、骨と結合したあとに歯ぐきを開く2回目の手術を行う方法(2回法)がある。インプラントを埋め込んだあと、骨と結合するまで下の顎で2〜3か月程度、上の顎で4〜6か月程度おいてから人工の歯を作る(日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」)。骨造成を行う場合はさらに長くなり、人工の歯が入ったあとも定期的なメンテナンスの通院が続く
  • 主なリスク・副作用:手術後の痛み・腫れ・出血・内出血、感染、神経の損傷によるしびれ・麻痺、上顎洞炎、骨との結合不全、インプラント周囲炎
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  • 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
  • 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。
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著者情報

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