インプラントの費用は原則として全額自己負担の自由診療で、医院ごとに料金が決められています。国民生活センターが2019年に行ったアンケートでは、インプラント手術を受けた人が完了までに支払った費用は平均で約86万円(埋入したインプラントは平均2.49本)でした。
1本あたりの金額は、検査や人工歯まで含むのか、骨を補う処置が必要かによって変わります。表示価格だけで比べず、見積もりに何が含まれているかをそろえてから比べると、医院ごとの違いが見えやすくなります。
この記事でわかること
- インプラント1本あたりの費用の目安と、公的な調査で分かっていること
- 費用の内訳と、見積もりで確認したい項目
- 前歯と奥歯で費用が変わるか
- 医療費控除や分割払いなど、負担を軽くする方法
インプラントの費用相場は?1本あたりの目安
インプラントには、全国共通の公定価格や、公的機関が示す1本あたりの相場はありません。保険が使えない自由診療のため、医院ごとに料金が決められているからです。
公的な調査で参考になるのが、国民生活センターがインプラント手術の経験者500人に行ったインターネットアンケートです。結果は次のとおりです。
| 項目 | 調査結果 |
|---|---|
| 調査対象 | インプラント手術の経験者500人(30〜70歳代、各年代100人) |
| 調査時期 | 2019年1月23日〜2月1日 |
| 埋入したインプラントの数 | 平均2.49本 |
| インプラントに載せた歯の数 | 平均2.89本 |
| 完了までにかかった費用 | 平均85.83万円(回答者によるおおよその金額) |
費用の平均を埋入本数の平均で単純に割ると、1本あたり約34万円になります。ただし、骨を補う処置などを含めた総額の平均から出した参考値で、1本の料金を示したものではありません。調査から年数がたっているため、現在の料金は医院の見積もりで確認してください。
「1本いくら」の表示で確認したいこと
「インプラント1本◯万円」という表示には、手術だけの料金を示すものと、検査から人工歯の装着までを含めた料金を示すものがあります。手術だけの料金であれば、土台(アバットメント)や人工歯(上部構造)、検査の費用が別に加わります。
比べるときは、次の3点をそろえると判断しやすくなります。
- 税込の金額か
- 検査・手術・土台・人工歯のどこまでが含まれるか
- 保証やメンテナンスの費用が含まれるか
参考:独立行政法人国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか-なくならない歯科インプラントにかかわる相談-」(2019年3月14日)
インプラント費用の内訳
日本口腔インプラント学会は、インプラントの費用は主に6つの項目で算出されると説明しています。見積もりを受け取ったら、各項目が含まれているか、別料金かを確かめましょう。
| 項目 | 主な内容 | 見積もりで確認したいこと |
|---|---|---|
| 診査・診断 | CT撮影などの検査、治療計画の作成 | 検査料が総額に含まれるか |
| インプラント手術 | 人工歯根(インプラント体)を顎の骨に埋める手術 | 手術の回数と、1本ごとの料金か |
| 骨量が足りない場合の付随手術 | 骨を補う処置(骨造成) | 必要になった場合にいくら加わるか |
| 手術関連処置 | 麻酔、仮歯、手術後の処置など | 仮歯や鎮静の費用が別にかかるか |
| 上部構造 | 土台と人工歯(被せ物) | 人工歯の素材と、素材ごとの料金 |
| メンテナンスに関わるもの | 治療後の定期的な検診・清掃 | 1回あたりの費用と、通う頻度 |
上部構造の素材や、骨造成が必要かどうかは、検査のあとで決まります。最初の相談で示された金額と検査後の見積もりで差が出ることがあるため、検査後に総額を確認してから治療を始めましょう。
骨が足りない場合の追加処置(骨造成)
インプラントを埋める部分の骨の量が足りない場合は、骨を補う処置(骨造成)が加わり、その分の費用がかかります。骨を補う方法には、骨の幅や高さを補うGBR(骨誘導再生法)や、上顎の奥歯で骨の高さを補うサイナスリフト・ソケットリフトなどがあり、方法や範囲によって費用に差が出ます。
骨造成は、インプラントを埋める手術の前に別に行う場合と、同じ手術の中で行う場合があります。骨造成が必要になると治療期間も延びるため、見積もりでは費用とあわせて期間も確認しましょう。
参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントの費用は?」/公益社団法人日本口腔インプラント学会「よくあるご質問」
前歯のインプラント費用は奥歯と違う?
前歯と奥歯で料金を分けている医院もあれば、同じ料金にしている医院もあります。部位だけで金額が決まるわけではなく、人工歯の素材や、骨・歯ぐきの状態によって総額が変わります。
前歯は人の目に触れやすいため、人工歯の色や形を周りの歯に合わせる調整や、治療中の仮歯を希望する人がいます。前歯を1本治療するときは、次の点を見積もりで確認してください。
- 人工歯の素材と、その料金
- 治療中の仮歯の有無と費用
- 骨造成や歯ぐきの処置が必要になった場合の費用
奥歯は噛む力が大きくかかる部位で、骨の状態によっては骨を補う処置が必要になる場合があります。
本数や治療方法による費用の違い
インプラントの総額は、治療する本数が増えるほど上がります。複数の歯を補う場合は、1本ずつインプラントを入れるほかに、インプラントで支えるブリッジや入れ歯を選ぶこともあり、選ぶ方法で本数と総額は異なります。
多くの歯を失っている場合や、全部の歯をインプラントにする場合は、1本ずつの費用の足し算ではなく、治療方法ごとの総額で考えます。
インプラントは保険適用される?入れ歯・ブリッジとの違い
インプラント治療は、原則として健康保険が使えません。保険が使えるのは、腫瘍や外傷、生まれつきの病気などで顎の骨が広い範囲で失われた場合などに限られ、施設基準を届け出た医療機関で行うことが条件です。
歯を失ったときの治療には、インプラントのほかに入れ歯とブリッジがあります。入れ歯とブリッジは保険診療で治療できるため、費用は医療保険の自己負担割合(1〜3割)の範囲に収まります。保険外の素材を選ぶと、自費になります。
| 治療法 | 健康保険 | 費用で確認したいこと |
|---|---|---|
| インプラント | 原則として使えない(自由診療) | 検査から人工歯までの総額と、メンテナンス費用 |
| ブリッジ | 使える(保険外の素材を選ぶと自費) | 保険の範囲で治療するか、素材を選ぶか |
| 入れ歯 | 使える(保険外の素材や設計を選ぶと自費) | 保険の範囲で治療するか、素材や設計を選ぶか |
費用だけでなく、両隣の歯を削るか、取り外しが必要かなど、治療ごとの特徴も合わせて歯科医師と相談しましょう。
参考:公益社団法人日本口腔インプラント学会誌「保険収載された『広範囲顎骨支持型装置』:適応症の検討」(J-STAGE)
インプラント費用の負担を軽くする方法
インプラントの費用を一度に支払うのが難しいときや、少しでも負担を軽くしたいときは、次の方法を使えます。
医療費控除を申告する
インプラントの治療費は、医療費控除の対象になります。1年間に支払った医療費が10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%の金額)を超えたときに、超えた分を所得から差し引ける制度で、控除を受けるには確定申告が必要です。
戻ってくる税金の額は所得や税率によって変わり、支払った治療費がそのまま戻るわけではありません。
参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」/国税庁「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(No.1128)
デンタルローンや分割払いを利用する
医院によっては、デンタルローン(歯科治療用のローン)やクレジットカードの分割払いを利用できます。月々の支払いは軽くなりますが、金利や手数料が加わるため、支払総額は一括払いより増えます。利用する前に、支払総額と回数を確認しましょう。
インプラントの見積もりで確認したいこと
インプラントは治療期間が長く、費用も高額になるため、費用と治療内容の説明を受けて納得してから始めることが欠かせません。
見積もりや治療計画の説明を受けるときは、次の点を確認しましょう。
- 見積もりが何本分の金額か
- 治療が全て終わるまでの総額はいくらか
- 保証を受けるための条件(定期検診への通院など)
- 治療内容・費用・リスク・治療期間が書面で説明されるか
日本口腔インプラント学会も、治療前の検査から人工歯の装着まで、治療が全て終わるまでに必要な治療費を確認してから治療を受けるよう案内しています。
表示価格の安さだけで選ばない
表示価格が安くても、検査や人工歯が別料金になっていたり、保証が限られていたりすると、総額や治療後の負担が表示価格より大きくなる場合があります。国民生活センターは、インプラント治療を行う歯科医師のスキルや知識に差があることがうかがえるとして、治療前に口の中や全身の状況、治療方法、費用、リスクなどの説明を求めるよう呼びかけています。
複数の医院で見積もりを取るときは、金額だけでなく、検査の内容、治療計画、説明の内容も含めて比べましょう。
インプラントの費用についてよくある質問
まとめ
インプラントは自由診療のため、1本あたりの全国共通の相場はなく、金額は検査や人工歯まで含むか、骨造成が必要かによって変わります。
見積もりを受け取ったら、税込の総額、含まれる工程、追加費用の条件、保証とメンテナンスの費用をそろえて比べましょう。医療費控除やデンタルローンも、負担を軽くしたり分けたりする手段として使えます。
下記では、静岡市でインプラント治療におすすめの歯科医院を5つご紹介しているので、静岡市でインプラントを検討している方はぜひ参考にしてください。
関連記事:静岡市でインプラント治療をするなら!おすすめの5つの歯科医院をご紹介
まずは歯科医院で検査を受け、治療計画と見積書を書面で受け取ってから、治療を始めるか検討してください。
この記事の調査方法・更新情報
- 調査方法:国民生活センターの調査資料、日本口腔インプラント学会の一般向け情報、国税庁の医療費控除の案内を確認した
- 確認した項目:インプラント治療にかかった費用の調査結果、費用の内訳の項目、医療費控除の計算方法を確認した
- 料金条件の注意:インプラントの費用は医院・症例・素材によって異なる。個別医院の料金表をもとにした相場は掲載していない
- 情報確認日:2026年9月26日
参考文献
- 独立行政法人国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか-なくならない歯科インプラントにかかわる相談-」(2019年3月14日)
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会「インプラントの費用は?」/「よくあるご質問」
- 公益社団法人日本口腔インプラント学会誌「保険収載された『広範囲顎骨支持型装置』:適応症の検討」(J-STAGE)
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」/「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(No.1128)
医療広告について
自由診療に関する詳細内容
インプラント治療は、原則として健康保険が適用されない自由診療のため、費用は全額自己負担です。
- 治療内容:人工歯根(インプラント体)を顎の骨に埋め、土台と人工歯(上部構造)を装着する
- 費用(税込)の目安:医院の料金体系、本数、骨造成の有無、人工歯の素材によって異なるため、検査後の見積もりで確認する
- 治療期間の目安:骨とインプラントが結合するまでの期間によって異なり、骨造成が必要な場合はさらに延びるため、検査後の治療計画で確認する
- 主なリスク・副作用:手術後の痛みや腫れ、出血、神経への影響(まひ・しびれ)、インプラントのぐらつき・脱落、インプラント周囲炎
- 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
- 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。


