インプラントのスクリューとは?役割と構造・固定方式の違い・緩みや破折の対処を解説

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インプラントのスクリューとは、人工歯根(インプラント体)・連結部(アバットメント)・人工歯(上部構造)という部品をつなぎ留める固定用のネジを指します。代表的なのは、インプラント体とアバットメントを締結するアバットメントスクリューです。また、上部構造の固定方式には「スクリュー固定式」と「セメント固定式」があります。

本記事では、スクリューの役割と構造、2つの固定方式の違い、緩みや破折の原因と対処、メンテナンスや受診の目安までを中立に整理します。構造や適応には個人差があります。

この記事でわかること
  • インプラントのスクリュー(固定用ネジ)の役割と構造
  • スクリュー固定式とセメント固定式の上部構造の違い
  • スクリューの緩み・破折の原因と対処・予防
  • 矯正用アンカースクリューとの違いと受診の目安

インプラントのスクリュー(固定用ネジ)とは

インプラントのスクリューとは、インプラントを構成する複数の部品を連結・締結するための小さなネジのことです。一般的なインプラントは、あごの骨に埋め込む「インプラント体」、その上に立てる連結部「アバットメント」、最終的にかぶせる人工歯「上部構造」の3つで構成されます。スクリューは、これらの部品を物理的につなぎ留める役割を担います。多くはチタンまたはチタン合金製で、用途ごとに複数の種類があります。

インプラントのスクリューの位置を構造図で示した図解。

もう少し具体的に見ると、スクリューはインプラント体とアバットメントを締め付け、噛む力を受けても部品どうしがずれにくいように固定する部品です。例えば、奥歯で噛みしめたときには強い力がかかるため、規定のトルク(締め付けの強さ)で固定されたスクリューが、インプラント全体の安定に関わります。

一方で、ネジである以上、長期間使ううちにわずかに緩んだり、強い力が繰り返しかかることで傷んだりすることがあります。スクリューは小さな部品ですが、その状態はインプラント全体の使いやすさやメンテナンス性に関わります。状態の変化の現れ方には個人差があります。

参考:日本歯科医師会 テーマパーク8020 インプラント治療

「スクリュー」が指すもの(ネジ・上部構造の固定方式)

「インプラントのスクリュー」という言葉は、文脈によって2つの意味で使われます。1つは部品としての固定用ネジそのもの、もう1つは人工歯(上部構造)の固定方式の一種である「スクリュー固定式」を指す使い方です。

前者は手で触れられる金属パーツを意味し、後者は「ネジで人工歯を留める方法」という治療設計を指します。例えば、「スクリューが緩んだ」と言えば部品のネジを指すことが多く、「スクリュー固定とセメント固定どちらがよいか」と言えば固定方式の話になります。

検索や歯科医院での説明でこの2つが混在すると混乱しやすいため、まずは「ネジという部品」と「固定方式という方法」の2つの意味があると押さえておくと理解しやすくなります。なお、後述する「矯正用アンカースクリュー」は、これらとは別の用途で使われるネジです。

スクリューの種類(アバットメントスクリュー・カバースクリュー・ヒーリングアバットメント)

インプラント治療で使われるスクリュー類には、役割の異なる複数の種類があります。代表的なのが、インプラント体とアバットメント、または上部構造を締結する「アバットメントスクリュー」です。噛む力を受ける部品を固定する重要なネジです。

これに対し「カバースクリュー」は、2回法と呼ばれる手術でインプラント体を骨に埋め込んだ直後に上部へ装着し、治癒期間中に内部を保護するためのフタのような役割を持ちます。

さらに「ヒーリングアバットメント(ヒーリングキャップ)」は、2次手術で歯ぐきを再び開いてカバースクリューを外したあとに一時的に取り付け、人工歯が入るスペースとなる歯ぐきの形を整えるための部品です。これらは治療の段階ごとに使い分けられます。

例えば、治療途中で「カバースクリューが外れた」と感じても、それは治癒過程で使う一時的な部品であることがあります。最終的な人工歯を固定するネジとは役割が異なるため、どの部品のトラブルかを歯科医院で確認してもらうことが大切です。どの段階でどの部品が使われるかは、術式(1回法・2回法)や症例によって異なります。

スクリューの構造と素材(チタン・締め付けトルク)

インプラントのスクリューは、チタンやチタン合金などで作られた精密なネジで、メーカーや製品ごとに定められた締め付けトルクで固定されます。トルクとは、ネジを締める力のことです。適切な強さで締めるためには、専用の器具(トルクレンチ)を使う必要があります。

締め付けが弱すぎると緩みやすく、強すぎるとネジや部品に負担がかかることがあります。そのため、歯科医院では製品ごとの規定に合わせて締結します。例えば、同じインプラントでもメーカーや部品の種類によって適切なトルク値や形状が異なるため、治療を受けたシステムに合った部品・器具での対応が必要です。

チタンは歯科インプラントで広く使われる素材ですが、長期間の使用や強い力の繰り返しにより、金属疲労が起こる可能性があります。素材や形状の適合性には製品差・個人差があり、定期的な確認が重要です。

ベストチョイス編集部からのひとこと

読者の方が混同しやすいのが、「インプラント体(人工歯根)」と「スクリュー(固定用ネジ)」の違いです。骨に埋まっている太い部分がインプラント体で、その内部や上で部品をつなぐ細いネジがスクリューにあたります。

トラブルで「インプラントが折れた」と言われた場合、骨の中の本体が折れたのか、内部のネジが折れたのかで対応も費用も変わります。説明を受ける際は、どの部品の話なのかを確認しておくと、状況を把握しやすくなります。

スクリュー固定式とセメント固定式の違い

インプラントの人工歯(上部構造)をアバットメントへ取り付ける方式には、ネジで留める「スクリュー固定式」と、歯科用セメントで接着する「セメント固定式(セメント合着)」があります。スクリュー固定式は、人工歯の噛む面や裏側にネジ穴(アクセスホール)を設けて締結し、必要に応じて取り外せることがあります。セメント固定式は、ネジ穴がなく見た目が自然になりやすい一方で、取り外しが難しい場合があります。どちらが適するかは症例によって異なります。

インプラントの上部構造の固定方式を比較した図解。

両者の違いを、構造・見た目・取り外し・メンテナンスの観点で整理すると、おおむね次のようになります。費用やメンテナンスのしやすさは医院や症例によって幅があるため、目安として捉えてください。

比較項目 スクリュー固定式 セメント固定式(セメント合着)
固定の仕組み ネジで締結します。 歯科用セメントで接着します。
取り外し 設計によっては、ネジを緩めて取り外せる場合があります。 取り外しが難しく、人工歯の破壊が必要になる場合があります。
見た目 噛む面や裏側にネジ穴の跡が残る場合があります。 ネジ穴がないため、自然な見た目になりやすいことがあります。
メンテナンス・修理 外して清掃・調整・再製作しやすい場合があります。 外しにくく、対応が限られる場合があります。
主な注意点 ネジの緩み、穴を塞ぐ樹脂の劣化が起こる場合があります。 余剰セメント(接着時に余ったセメント)が残ると、炎症の原因になる場合があります。

スクリュー固定式の仕組みとメリット・デメリット

スクリュー固定式は、人工歯の噛む面や裏側に開けたアクセスホール(ネジ穴)からネジを通してアバットメントに締結し、最後にその穴を白い樹脂(コンポジットレジン)で塞ぐ方式です。必要なときにネジを緩めて人工歯を取り外せる場合があり、内部の清掃、ネジの締め直し、トラブル時の修理・再製作がしやすいことがあります。

例えば、定期メンテナンスで内部の状態を確認したい場合や、噛み合わせの微調整が必要になった場合に、外して対応できることがあります。一方で、噛む面に開けた穴を塞ぐ樹脂が経年で変色・摩耗することがあり、噛み合わせや見た目に影響する場合があります。また、ネジが時間とともに緩むことや、構造・設計によって費用が高くなることもあります。適応は症例により異なり、仕上がりや耐久性には個人差があります。

セメント固定式の仕組みとメリット・デメリット

セメント固定式は、アバットメントの上に人工歯を歯科用セメントで接着する、天然歯の被せ物に近い方式です。噛む面にネジ穴がないため、見た目が自然に仕上がりやすいことがあります。複数本を連結するブリッジのような上部構造でも、症例によっては設計しやすい場合があります。

一方で、注意したいのは、接着時にあふれた余剰セメントが歯ぐきの溝に残る場合です。余剰セメントが刺激となり、インプラント周囲炎(インプラント周囲の歯ぐきや骨に起こる炎症)につながることがあります。また、一度接着すると取り外しが難しく、トラブル時には人工歯を壊して対応する場合もあります。

例えば、見た目を重視したい前歯部でセメント固定式が検討されることがありますが、その場合も余剰セメントを丁寧に除去できる設計や、定期的な清掃管理が重要です。どちらの方式にも長所と短所があり、見た目・メンテナンス性・費用のバランスを踏まえて選ぶことになります。適応の可否や仕上がりには個人差があります。

どちらが選ばれる?症例による使い分け

スクリュー固定式とセメント固定式のどちらが適するかは、埋入する部位や本数、見た目への希望、噛み合わせの状態、インプラント体を埋める角度などを踏まえて歯科医師が判断します。奥歯でメンテナンス性を重視する場合はスクリュー固定式が検討されることがあり、前歯で見た目を重視する場合はセメント固定式が選択肢になることがあります。

ただし、インプラント体を埋める角度によってはネジ穴が目立つ位置に出てしまい、スクリュー固定式が選びにくい場合があります。反対に、余剰セメントによる炎症リスクを避けたい場合は、スクリュー固定式が検討されることもあります。重要なのは、どちらの方式にも一長一短があり「絶対にこちらがよい」とは言い切れない点です。

固定方式の選択に迷う場合は、それぞれの長所・短所と自分の優先順位を担当医に伝え、症例に合った方法を相談するとよいでしょう。最適な方式は個々の症例によって異なります。

ベストチョイス編集部からのひとこと

固定方式は、「患者が自由に選ぶ」というより「症例に応じて歯科医師が設計する」性格が強い項目です。特にインプラント体を埋める角度や本数によって、選べる方式があらかじめ絞られることがあります。

カウンセリングでは「自分のケースではどちらの方式になりそうか」「その理由は何か」を確認しておくと、見た目とメンテナンスのどちらを優先した設計なのかが理解しやすくなります。

スクリューが緩む・破折する原因と前兆

インプラントのスクリューが緩んだり破折したりする主な原因は、歯ぎしりや食いしばりによる過度な力、噛み合わせの不適合、長年の使用による金属疲労、上部構造の適合精度の問題などです。緩みは、破折や上部構造の不具合の前兆として現れることがあります。「噛むと違和感がある」「人工歯がわずかに動く・カタつく」といったサインに気づいた場合は、早めに歯科医院へ相談してください。

緩みが生じるしくみを少し掘り下げると、ネジは規定のトルクで締められていても、噛むたびに繰り返し力がかかることで微細な振動が起き、長い時間をかけて少しずつ緩むことがあります。特に、就寝中の歯ぎしりや日中の無意識の食いしばりがある方は、想定以上の力が集中しやすく、緩みや金属疲労に影響することがあります。

例えば、朝起きたときにあごが疲れている、人工歯の部分で噛むと以前と感触が違う、といった変化は、噛む力の負担やネジの状態が変わっているサインのことがあります。また、噛み合わせが時間とともに変化したり、向かい合う歯がすり減ったりすると、特定のインプラントにだけ強く当たるようになり、負担が偏ることもあります。

緩みの段階で気づいて締め直しや調整ができれば、比較的少ない処置で対応できる場合があります。一方で、放置して破折に至ると対応が難しくなることがあります。緩みや破折の起こりやすさには、噛む力や生活習慣による個人差があります。

緩み・破折の主な原因(食いしばり・噛み合わせ・金属疲労)

スクリューの緩みや破折の背景には、力学的な要因が大きく関わります。代表的なのが歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)で、強い力が繰り返しインプラントにかかると、ネジが緩んだり、金属疲労で折れたりするリスクが高まることがあります。

次に噛み合わせ(咬合)の不適合です。特定のインプラントにだけ強く当たる状態が続くと、その一点に負担が集中します。さらに、上部構造やアバットメントの適合精度に問題があると、わずかなすき間や応力が緩み・破折の原因になることがあります。

加えて、インプラント周囲炎によって支えとなる骨が減ると、インプラント全体が不安定になり、スクリューや上部構造への負担が増える場合があります。これらは単独ではなく、複数が重なって起こることも少なくありません。例えば、食いしばりの強い方が噛み合わせの変化に気づかず使い続けると、緩み・破折のリスクが積み重なっていきます。原因の特定には、歯科医院での噛み合わせの確認やレントゲン検査が必要です。

緩み・破折を放置するリスク

スクリューの緩みや破折を放置すると、症状が連鎖的に悪化することがあります。緩んだ状態のまま噛み続けると、ネジ穴の周囲にすき間が生まれ、細菌が入り込みやすくなります。その結果、インプラント周囲炎につながる場合があります。

インプラント周囲炎は自覚症状が乏しいまま進行することがあり、支えとなる骨が減ると、インプラント自体を維持しにくくなる場合があります。また、緩みを放置するとネジへの負担がさらに偏り、破折へと進むこともあります。

ネジが折れてインプラント体の内部に残ってしまうと、取り出すのに専用の器具や技術が必要になる場合があります。状況によっては、インプラント体ごと撤去・再埋入が検討されることもあります。例えば、「少しカタつくけれど痛くないから」と放置した結果、受診時には炎症や破折が進んでいた、というケースも考えられます。

痛みがないことは必ずしも安心材料ではありません。違和感の段階で対応するほど、処置の選択肢が広がる可能性があります。進行の速さや重症度には個人差があります。

スクリューが緩んだ・折れたときの対処法

スクリューが緩んだ・折れたと感じたときの基本は、自分で対処せず、できるだけ早く治療を受けた歯科医院を受診することです。緩みだけであれば、歯科医師が人工歯を一時的に外してネジを規定トルクで締め直す、または新しいネジに交換するといった対応が検討されます。

一方、ネジが折れてインプラント体内部に残った場合は、専用キットや超音波器具を使って慎重に除去し、新しい部品で組み直す処置が必要になることがあります。いずれも専門的な処置のため、自己判断での対応は避けましょう。

受診後は、まず歯科医師が緩み・破折の状態とインプラント体本体の状態を確認します。緩みのみで部品に損傷がなければ、ネジの締め直しや新しいネジへの交換で対応できる場合があります。その際、緩みの原因となった噛み合わせの調整を併せて行うこともあります。

折れたネジがインプラント体の中に残っている場合は、破断面に器具をかけて逆回転で取り出す、メーカーの除去キットを使う、超音波器具で緩めるといった方法が検討されます。ネジの上部だけが折れて取り出しやすいケースもあれば、奥で固着して除去に時間がかかるケースもあり、難易度は状況によって異なります。

万一、インプラント体本体が破折していたり、周囲の骨が大きく失われていたりする場合は、インプラント体ごと撤去し、状態を整えてから再埋入を検討することがあります。自分でネジを締めようとしたり、市販の接着剤で人工歯を留めようとしたりすることは避けてください。誤った対処は、破損や感染につながるおそれがあります。対応内容や回数は症例により異なり、結果には個人差があります。

参考:日本口腔インプラント学会 インプラント治療のよくあるご質問

自分で締め直すのは避け、まず受診を

スクリューが緩んだように感じても、自分で締め直そうとするのは避け、歯科医院で対応を受けてください。インプラントのネジはメーカーごとに規定された締め付けトルクで固定する必要があり、専用の器具がなければ適切な強さで締めることはできません。

市販の工具で無理に締めると、ネジ山をつぶしたり、締めすぎてネジ自体を破損させたりするおそれがあります。また、緩みの裏に噛み合わせの問題やインプラント周囲炎が隠れていることもあり、原因を確認せずにネジだけ締めても再発しやすくなります。

例えば、いったん締まったように感じても、原因となる力の負担が残っていれば再び緩む可能性があります。人工歯がカタつく、噛むと違和感があると気づいたら、できるだけ早く治療を受けた歯科医院へ連絡し、状態を診てもらいましょう。対応にかかる費用や保証の範囲は医院や契約内容によって異なるため、あわせて確認しておくとよいでしょう。

スクリューを長持ちさせるメンテナンスと受診の目安

インプラントのスクリューを長持ちさせる基本は、毎日のセルフケアに加えて、歯科医院での定期メンテナンスを継続することです。定期検診では、歯科医師がネジの緩みの有無や噛み合わせ、インプラント周囲の歯ぐき・骨の状態を確認し、必要に応じて締め直しや調整を行います。歯ぎしり・食いしばりがある場合は、ナイトガード(マウスピース)で力を分散する対策が検討されることもあります。違和感がある場合は、定期検診を待たずに受診しましょう。

日常のケアでは、人工歯と歯ぐきの境目やインプラントの周囲に汚れをためないよう、歯ブラシに加えてデンタルフロスや歯間ブラシでていねいに清掃することが基本です。インプラントは天然歯のような知覚がないため、トラブルが進んでも痛みで気づきにくいことがあります。そのため、自分では気づけない変化を専門家が確認する定期メンテナンスの役割が大きくなります。

定期検診では、必要に応じてレントゲンで周囲の骨の状態を確認したり、ネジの緩みを点検して規定トルクで締め直したり、噛み合わせを調整したりします。例えば、就寝中の歯ぎしりが強い方は、ナイトガードを併用することでネジや上部構造への負担を和らげられる場合があります。

受診の目安としては、「噛むと違和感や痛みがある」「人工歯がカタつく・動く感じがする」「歯ぐきが腫れる・出血する」「ネジ穴を塞いだ部分の色が変わってきた」といったサインのいずれかに気づいたら、定期検診を待たずに相談してください。症状がなくても、定期メンテナンスを継続することが、緩みや破折の早期発見につながります。メンテナンスの頻度や効果には個人差があります。

矯正用アンカースクリューとの違い

「矯正用アンカースクリュー」は、これまで説明してきたインプラントのスクリュー(固定用ネジ)とは別の用途で使われるネジです。矯正用アンカースクリューは、歯科矯正治療中に歯を動かすための固定源として、あごの骨に一時的に埋め込む小型のネジです。失った歯を補う人工歯根としてのインプラントとは目的が異なり、矯正治療の計画に応じて使用され、治療後に撤去されることがあります。

両者の違いを整理すると、まず目的が根本的に異なります。一般的なインプラントは、失った歯の機能と見た目を補うために骨と結合させ、長期間使い続けることを前提とした人工歯根です。これに対し、矯正用アンカースクリューは、矯正装置で歯を動かす際に「動かしたくない歯(固定源)」の代わりとなり、歯の移動を補助するために一時的に設置するものです。

例えば、ネット上では矯正用アンカースクリューを用いた治療が「インプラント矯正」と呼ばれることがありますが、これは歯を補うインプラント治療とは別の治療です。名称が似ているため混同されやすいものの、目的、使用期間、撤去の有無、治療の流れが異なります。検索でどちらの情報を探しているのかを意識すると、必要な内容にたどり着きやすくなります。適応や治療内容は症例によって異なります。

参考:日本矯正歯科学会 歯科矯正用アンカースクリューガイドライン

インプラントのスクリューの状態や固定方式の選択、トラブル時の対応は症例によって大きく異なります。個別の診断・治療方針については、必ず治療を受けた歯科医院または担当の歯科医師にご相談ください。

インプラントに関するよくある質問

Q. インプラントのスクリューとは何ですか?

インプラント体、アバットメント、人工歯という部品をつなぎ留める固定用のネジを指します。代表的なのはインプラント体とアバットメントを締結するアバットメントスクリューで、多くはチタンまたはチタン合金製です。文脈によっては、人工歯の固定方式である「スクリュー固定式」を指すこともあります。

Q. スクリューが緩んだら自分で締め直してもよいですか?

自分で締め直すのは避け、治療を受けた歯科医院を受診してください。インプラントのネジはメーカーごとに規定トルクが決まっており、専用器具がないと適切に締められません。市販工具で無理に締めると、ネジ山の破損や締めすぎによる破折につながるおそれがあります。

Q. スクリューが折れたら直せますか?

折れたネジは、専用の器具やメーカーの除去キット、超音波器具などを使って取り出し、新しい部品に交換して対応できる場合があります。ただし、奥で固着していると除去が難しく、インプラント体本体が損傷していれば撤去・再埋入が検討されることもあります。対応は状態により異なります。

Q. スクリュー固定式とセメント固定式はどちらがよいですか?

どちらにも長所と短所があり、症例によって適する方式が異なります。スクリュー固定式は取り外してメンテナンスや修理をしやすい場合があり、セメント固定式は見た目が自然に仕上がりやすい場合があります。一方で、セメント固定式では余剰セメントによる炎症に注意が必要です。担当医と相談して決めましょう。

Q. スクリューはどのくらいの頻度で点検すればよいですか?

一般的には、歯科医院での定期メンテナンス時に、緩みの有無や噛み合わせ、周囲の歯ぐき・骨の状態を確認します。頻度は口腔内の状態により異なりますが、3〜6か月ごとを目安に案内されることがあります。違和感やカタつきがある場合は、検診を待たずに受診しましょう。

Q. 矯正用アンカースクリューはインプラントのスクリューと同じですか?

別物です。矯正用アンカースクリューは、矯正治療中に歯を動かすための固定源として骨に一時的に埋め込む小型のネジです。治療後に撤去されることがあり、失った歯を補う人工歯根としてのインプラントや、その固定用ネジとは目的が異なります。名称が似ているため混同に注意してください。

まとめ

インプラントのスクリューは、インプラント体・アバットメント・人工歯という部品をつなぎ留める固定用ネジで、インプラント全体の安定に関わる部品です。役割の異なるアバットメントスクリュー・カバースクリュー・ヒーリングアバットメントがあり、治療段階や目的によって使い分けられます。

人工歯の固定方式には、取り外してメンテナンスや修理をしやすい場合があるスクリュー固定式と、見た目が自然に仕上がりやすい場合があるセメント固定式があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、どちらが適するかは部位や本数、噛み合わせ、見た目の希望、インプラント体を埋める角度などをふまえて歯科医師が判断します。

スクリューは歯ぎしりや噛み合わせ、金属疲労などで緩んだり折れたりすることがあります。「カタつく」「噛むと違和感がある」といったサインに気づいたら、自分で締め直さず、まず治療を受けた歯科医院を受診してください。定期メンテナンスでネジの緩みや噛み合わせを確認し、必要に応じてナイトガードなどで力の負担を和らげることが、トラブルの早期発見につながります。名称の似た矯正用アンカースクリューは、目的の異なる別の治療器具である点も押さえておきましょう。

※本記事は一般的な情報を整理したものです。個別の症例については、必ず担当の歯科医師にご相談ください。治療効果・適応・トラブルの起こりやすさには個人差があります。

ベストチョイス編集部
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