矯正治療の費用は、治療する範囲(部分矯正か全体矯正か)と装置の種類によって大きく変わります。自費診療の全体矯正では、おおむね60万〜170万円(税込)が一つの目安です。ただし、提示された金額に検査料・調整料・保定装置料が含まれるかによって、最終的な総額は変わります。
この記事では、種類別の費用相場と治療期間、費用の内訳、保険適用の条件、医療費控除、支払い方法をまとめました。費用・治療期間・適応・治療結果には個人差があり、実際の金額は歯科医師の診断と見積もりで確認する必要があります。
- 矯正方法ごとの費用相場(税込)と治療期間
- 検査料・調整料・保定装置料など費用の内訳
- 保険適用となる条件と、2026年度改定で追加された対象
- 医療費控除・デンタルローンなど負担を分ける方法
| 画像ブロック 1|アイキャッチ 画像URL:https://raw.githubusercontent.com/strcowork-creator/article-deliverer-images/main/articles/268_%E7%9F%AF%E6%AD%A3%E6%B2%BB%E7%99%82%E8%B2%BB%E7%94%A8/v32_1781239033150_0qu7_vm1.png 代替テキスト:矯正治療の費用相場と、種類別の料金、保険適用、医療費控除を解説する記事のアイキャッチ画像 |
矯正治療の費用相場を種類別に比較
自費診療の矯正治療は、全体矯正で約60万〜170万円(税込)、部分矯正で約10万〜70万円(税込)が目安です。表側ワイヤー矯正は比較的費用を抑えやすく、裏側矯正は装置の製作・調整に手間がかかるため高くなる傾向があります。マウスピース矯正は、動かす歯の範囲や必要な装置の枚数によって金額が変わります。
矯正治療は、一部の保険適用症例を除き、原則として自由診療です。医院ごとに料金体系が異なるため、広告の最低価格だけでなく、検査・診断、通院時の調整、治療後の保定まで含めた総額で比較しましょう。
| 画像ブロック 2|種類別の費用相場 画像URL:https://raw.githubusercontent.com/strcowork-creator/article-deliverer-images/main/articles/268_%E7%9F%AF%E6%AD%A3%E6%B2%BB%E7%99%82%E8%B2%BB%E7%94%A8/v32_1781239037972_3r1e_vm2.png 代替テキスト:表側矯正、裏側矯正、ハーフリンガル矯正、マウスピース矯正の全体矯正費用を比較した図 |
| 矯正方法 | 部分矯正の目安 | 全体矯正の目安 | 治療期間の目安 |
| 表側矯正(ワイヤー) | 約30万〜60万円 | 約60万〜130万円 | 全体で約1〜3年 |
| 裏側矯正(リンガル) | 約40万〜70万円 | 約100万〜170万円 | 全体で約2〜3年 |
| ハーフリンガル矯正 | 約35万〜65万円 | 約65万〜135万円 | 全体で約2〜3年 |
| マウスピース矯正 | 約10万〜70万円 | 約60万〜120万円 | 部分は数か月〜/全体は約1〜3年 |
※上記は一般的な目安です。症例の難易度、治療範囲、装置、通院回数、料金に含まれる項目によって実際の費用は異なります。
| 重要|自由診療として確認しておきたい情報 公的医療保険:原則として適用されません。ただし、国が定める疾患や条件に該当し、届出を行った医療機関で治療する場合は保険適用となることがあります。 標準的な費用:部分矯正は約10万〜70万円、全体矯正は約60万〜170万円が目安です。 治療期間・通院:部分矯正は数か月から、全体矯正は約1〜3年が目安です。歯を動かす期間は月1回程度の通院が一般的ですが、症例や装置により異なります。 主なリスク・副作用:痛みや違和感、口内炎、虫歯・歯周病、歯根吸収、歯肉退縮、発音への影響、治療後の後戻りなどが起こることがあります。 |
表側・裏側のワイヤー矯正にかかる費用
表側ワイヤー矯正の全体矯正は約60万〜130万円(税込)、裏側矯正は約100万〜170万円(税込)が目安です。裏側矯正では、歯の裏側に合わせた装置の製作や調整に高い精度が必要なため、表側矯正より費用が高くなる傾向があります。
表側矯正でも、目立ちにくい白色系のブラケットやワイヤーを選ぶと、金属製の装置より追加費用が生じることがあります。治療中は、装置が粘膜に当たる痛みや口内炎、清掃しにくいことによる虫歯・歯周病、歯根吸収などのリスクがあります。裏側矯正では、一時的に発音しにくくなる場合もあります。
マウスピース矯正・部分矯正にかかる費用
マウスピース矯正は、全体矯正で約60万〜120万円(税込)、軽度の部分矯正では約10万〜70万円(税込)が目安です。透明で取り外せる一方、すべての歯並びに適用できるわけではなく、症例によってはワイヤー矯正や両者の併用が検討されます。
治療計画どおりに歯を動かすには、歯科医師の指示に沿った装着時間を守る必要があります。装着時間が不足すると、計画どおりに歯が動かず、治療期間の延長や追加の装置が必要になることがあります。締めつけ感、一時的な発音のしづらさ、虫歯・歯周病、歯根吸収、歯肉退縮、後戻りなどのリスクもあります。
| 編集部メモ|最低価格ではなく「総額」で比べる 広告の最低価格は、前歯だけの部分矯正や月額表示であることがあります。自分の歯並びが全体矯正の対象なら、最終的な総額は大きく変わります。 見積もりでは、部分矯正か全体矯正か、検査料・調整料・保定装置料・追加装置・抜歯費用が含まれるかを確認しましょう。 |
矯正治療の費用内訳|検査・調整・保定まで確認
矯正治療では、装置代だけでなく、治療前の検査・診断、治療中の調整、治療後の保定に費用がかかります。一般的な目安は、精密検査・診断料が約3万〜5万円、調整料が1回約3,000〜1万円、リテーナー(保定装置)が約1万〜6万円です。医院の料金体系により、これらが装置代に含まれる場合と、別途支払う場合があります。
| 画像ブロック 3|矯正費用の内訳 画像URL:https://raw.githubusercontent.com/strcowork-creator/article-deliverer-images/main/articles/268_%E7%9F%AF%E6%AD%A3%E6%B2%BB%E7%99%82%E8%B2%BB%E7%94%A8/v32_1781239042656_tiww_vm3.png 代替テキスト:矯正治療の費用を治療前、治療中、治療後に分け、検査・診断料、装置・調整料、リテーナー代を示した図 |
| 段階 | 主な費用項目 | 費用の目安(税込) |
| 治療前 | 初回相談 | 無料〜約5,000円 |
| 治療前 | 精密検査・診断 | 約3万〜5万円 |
| 治療前 | 虫歯・歯周病治療、便宜抜歯(必要な場合) | 内容・医療機関により異なる |
| 治療中 | 矯正装置・調整 | 調整料1回 約3,000〜1万円 |
| 治療後 | リテーナー・保定観察 | リテーナー 約1万〜6万円 |
初回相談では、歯並びの悩みや希望する装置を確認します。その後、レントゲン、口腔内写真、歯型などによる精密検査を行い、治療方針と見積もりが提示されます。矯正前に虫歯・歯周病の治療や抜歯が必要な場合は、別途費用が生じることがあります。
治療中は装置の調整や経過確認のために通院します。日本歯科医師会の患者向け情報では、歯を動かしている期間は月1回程度の通院が一般的と案内されています。治療後は、歯が元の位置へ戻ろうとする「後戻り」を抑えるため、リテーナーを使用し、経過を確認します。
トータルフィー制と処置別支払い制の違い
料金体系には、治療開始前に総額を提示する「トータルフィー制」と、検査・装置・調整などを処置ごとに支払う「処置別支払い制」があります。トータルフィー制は予算を立てやすい一方、どこまで含まれるかは医院ごとに異なります。処置別支払い制は、治療期間が延びると調整料が増え、当初の見込みより総額が高くなることがあります。
- 精密検査・診断料は含まれるか
- 毎回の調整料は含まれるか
- 追加のマウスピースや補助装置は含まれるか
- 抜歯や虫歯治療は別料金か
- リテーナー代と保定観察料は含まれるか
- 治療期間が延びた場合の追加費用はあるか
- 中途解約・転院時の精算方法はどうなるか
矯正治療は保険適用される?対象と医療機関の条件
一般的な歯並びの改善を目的とする矯正治療は、原則として自由診療です。ただし、厚生労働大臣が定める疾患に起因する咬合異常、3歯以上の永久歯萌出不全、顎の手術を必要とする顎変形症など、定められた条件に該当する場合は保険適用となることがあります。治療は、必要な届出を行った医療機関で受ける必要があります。
2026年度診療報酬改定では、原発性低リン血症性くる病、ロイス・ディーツ症候群などの疾患に加え、18歳未満で連続した3歯以上の先天性欠如歯に起因する咬合異常が、歯科矯正の保険給付対象に追加されました。該当するかどうかは自己判断せず、保険診療に対応する医療機関で診断を受けてください。
| 注意|保険適用の確認ポイント 対象となる疾患・状態に該当するか 顎変形症では、顎離断などの手術を必要とする治療計画か 治療を受ける医療機関が、歯科矯正診断料または顎口腔機能診断料に関する届出を行っているか 年齢など追加要件がある対象では、その条件を満たすか |
医療費控除で矯正費用の負担を軽減できる場合がある
医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超えた場合に、確定申告で所得控除を受けられる制度です。控除額は、実際に支払った医療費から保険金などで補てんされる金額を差し引き、さらに原則10万円を差し引いて計算します。総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%が基準です。
国税庁は、年齢や矯正の目的などからみて必要と認められる歯列矯正の費用は医療費控除の対象になり、容ぼうを美化する目的の費用は対象外と案内しています。大人の矯正でも、噛み合わせ、咀嚼、発音などの機能改善を目的とし、治療として必要と認められる場合は対象になる可能性があります。
治療のために公共交通機関を利用した通院費も対象になる場合があります。一方、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。判断に迷う場合は、治療目的を歯科医院に確認し、税務署または税理士へ相談してください。
デンタルローン・分割払いを利用するときの注意点
一括払いが難しい場合は、デンタルローン、院内分割、クレジットカードの分割払いなどを利用できることがあります。金利・手数料・審査条件・途中解約時の扱いは契約先によって異なるため、月額だけでなく総支払額で比較しましょう。
国税庁の案内では、歯科ローンで信販会社が立て替えた治療費本体は、ローン契約が成立した年の医療費控除の対象になります。ただし、金利と手数料は対象になりません。契約書や信販会社の領収書など、支出を証明する書類を保管してください。
矯正治療を始める前に確認したい7つの注意点
- 広告の最低価格ではなく、検査・調整・保定を含む総額を確認する
- 部分矯正で対応できるか、全体矯正が必要かを診断で確認する
- 装置ごとの適応、治療期間、通院頻度を確認する
- 追加装置・再作製・治療延長時の費用を確認する
- 抜歯、虫歯・歯周病治療が必要な場合の費用を確認する
- 中途解約、転院、返金の規定を契約前に確認する
- 治療後のリテーナーの種類、使用期間、費用を確認する
安さだけを理由に部分矯正を選ぶと、噛み合わせ全体の治療が必要な症例では、希望した結果が得られない場合があります。治療後に全体矯正へ切り替えると、費用や期間が追加で必要になることもあります。
また、矯正治療後はリテーナーを指示どおりに使うことが大切です。歯は治療後も動く可能性があり、保定が不十分だと後戻りが起こることがあります。治療中・治療後のセルフケアと定期的な確認まで含めて、治療計画を検討しましょう。
よくある質問
Q. 矯正治療は子どもと大人で費用が変わりますか?
変わることがあります。子どもの矯正は、顎の成長や歯の生え替わりに合わせて段階的に治療する場合があり、1期治療と2期治療で費用が分かれることがあります。大人は永久歯の全体矯正になるケースが多い一方、症例や治療範囲で大きく異なります。見積もりでは、追加の治療段階があるかまで確認してください。
Q. 矯正費用は一括で支払う必要がありますか?
医院によって異なります。一括払いのほか、デンタルローン、院内分割、クレジットカードに対応する医院があります。分割払いは金利・手数料が加わることがあるため、月額ではなく総支払額を確認しましょう。
参考資料
- 厚生労働省「医療広告等ガイドライン」(令和8年3月30日最終改正)
- 厚生労働省「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第5版)」
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
- 国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
- 日本歯科医師会「矯正歯科」
最終確認日:2026年7月30日


